長崎の坂がすごい、という話はこれまでも何度か取り上げてきた。(すごい坂、ゴミ収集 、バスツアー)
その坂の町で、生活を少しでも楽にするために“珍妙なマシーン”が活躍してるという情報を得た。ので、さっそく見て回ることにした。
マシンを通じて、坂の町での暮らしが見えてきました。
(text by T・斎藤)
独自の工夫
坂に住む人々にとって、階段の上り下りは深刻な問題である。身体が元気なうちはまだいいが、お年寄りにとってはかなり深刻な問題である。そこで、少しでも坂の生活を楽にすべく独自の工夫がとられている。
まずは下の写真を見てみよう
おお、そうか! 長崎では、いちいち坂を上り下りしなくても利用できるよう、電話ボックスの方が移動してくる。
…なワケないだろう
これ、見かけはまったく電話ボックスなのだが、正しくは「斜面移送システム」。階段が厳しいお年寄りのための移動リフトである。
こんなふうに乗る。↓
移動距離は全長80m。最大勾配は32度。 速度は1分間に15m。つまり5分ちょいかかって上まで上がる。
正直、歩いた方がずっと早いのだが、足腰の弱ったお年寄りには有り難いアイテムだ。 「助かるとさね〜」 と言って利用されていた。
が、一度に二人までしか乗れないので利用者が多い時はけっこう待たされる。操作パネルの前でマシンを待ちつつ、己の身体の不具合などについて語り合っていた。井戸端会議ならぬマシン端会議だ。
マシンを呼び寄せたり操作するには専用のカードが要る。カードを挿入し、呼出ボタンを押すと上からマシーンが降りてくるのだ。
私はこのカードを持ってないので、今回乗ることはできなかった。
市役所に申請書を出せばカードが手に入るらしいが、利用できるのはお年寄りや身体の不自由な方に限られている。
サンダーバードの一号機は地球上のどこにでも1時間以内で移動できる高速ジェット機だが、長崎市移送システムの一号機はこんな感じ。その名も「てんじんくん」。 平成14年3月に作られた。
ネコが多い坂の町長崎らしく、その辺にはネコもウロチョロ。
本当は私も乗ってその乗り心地を確かめたかったが、意外と利用率が高く、待っているお年寄りが後を絶たなかったため断念。老後の楽しみにとっておくことにして次のポイント(2号機)へと急ぐことにした。