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特集


ちしきの金曜日
 
沖縄コネタアイランド実地調査

●想像力でグッとこさせる野菜たち

 旅行の途中たまたま立ち寄ったのは、玉城村の「花野果村(はなやか村)」。地元の農産物・特産物の販売所だ。


この手の施設があるとつい寄ってしまう

旅行中なのに野菜を買いたくなっちゃう


 野菜や果物がとにかくお手ごろ価格で売っている。葉物の野菜なんて旅先で買っても意味がないのに、つい買ってしまいそうになるくらいの鮮度と値段で迫ってくる。ただ気になるのは、


まだ青い果実のヒロアキ

ちょっと疲れた感じのヒロシ


 農作物に名前がついているのだ。地元でもこれらがヒロアキとかヒロシと呼ばれているわけではないと思う。ましてやこれらの固有名詞として下の名前がついているのでもないと思う。

 そうわかっても、手にとって呼びかけたくなるたたずまい。お前、ヒロアキっていうのか。


今が食べごろキミエ

熟れるには時間のかかりそうなミサコ


 女性の名前がついているものもあり、男である私はどうも妙な気持ちになってしまう。カタカナ表記というのも独特の雰囲気をかもし出しているのではないだろうか。


漢字だと急にお母さん風に


 いろいろ見ていると漢字で書かれているものも発見。カタカナと比べて別の味わいが出てくる。なぜだかお母さんっぽいのだ。実母は別に照子じゃないけど、そうした事実とは関係なくお母さんだ。

 そうだろうなと予想はしつつお店の人に確認したところ、やはりこれらは農産物の生産者の名前であるとのこと。それにしても野菜にいきなり下の名前がついていると勝手にいろいろと想像してしまう。


ピーマンにときめいたのなんて初めて

なんだか応援したくなるゼンスケ


 「生産者の顔が見える野菜」という言い回しを聞いたことがあるが、これらは「生産者の下の名前がわかる野菜」。店の人の話によると、特に下の名前を値札につけるという取り決めはないそうだが、同じ苗字の人も多いらしく、そのためこのようになっているそうだ。

 しかし、そんな事実関係を聞いても農作物への余計な感情移入は止まらない。


京子とテルコ、僕には選べないよ…


 切れ長の目とうなじがきれいな京子、若々しく肌がぷりぷりとしたテルコ。名前から勝手にイメージ、バカじゃないかと自分でも思うが、つい想像上のふたりを頭の中で天秤かけるようなことをしてしまう。

地元にこだわらない品ぞろえもあり

●気を抜くとコネタに襲われる島

  どこを歩いても新鮮な輝きに満ちているように感じられた沖縄。ハットしてグゥーだし、果物はテルコ。

 「おっ!北海道産のたまねぎだ!」などと、普通に考えれば別におもしろいわけではないことにまでうっかり興奮してしまっていた。少しは冷静になれ、と思う。

 よく知られた観光名所や美しい自然に加え、細かい気になりどころも満載の島。今回は細かいところにばかり気をとられてしまって普通の観光が全然できなかったので、今度来るときは普通に観光しようと思いつつ、またあの魚屋さんのテーマを確かめに行ってしまいそうな気もする。



 

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