庶民派代表、シャケ
私がふだん、一番食べる魚といったらダントツでシャケだ。スーパーでは「1円でも安いものを」と思いながら買っている。
というのも、シャケほど高いものと安いものとの差がない魚も珍しいと思うからだ。
たとえ100円のシャケであっても、一度として「マズッ!」と憤ったことはない。たとえ身は薄かろうと、シャケはシャケ。いつもお馴染みの味。
それは以前試みたコネタ「鮭のおにぎり徹底解剖」でも同様だった。18個ものおにぎりを食べておいて、まとめが「どれもおいしかった」とは我ながら情けないが、たとえ木っ端のような鮭フレークでも、私の舌は「マズイ」とは言わない。
そう、シャケは私を一度として裏切ったことのない、度量の広い魚なのだ。いいやつなのだ。律儀に生まれた川に戻ってくる義理堅さだけをみても、彼らのいいヤツっぶりが分かる。えらい。
そんなシャケに、高級品と呼ばれるほど「お高い」ものがあることは知っていた。ウワサによると、一切れ2千円もするらしい。
シャケ好きとしては、これは黙って見過ごせないだろう。いつもお世話になっている100円のシャケには申し訳ないが、デパートへと向かうことにした。
スーパーで済ませたくても、近所のスーパーには一切れ300円以上のシャケがない。 |