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特集


ちしきの金曜日
 
明日の天気を今日知るために


気象庁発表の天気予報はここで作られる。

予報の組み方を教えていただく

気象庁の場合、天気予報は予報現業室というところで、数値予報の計算結果の図などをもとに作られる。

取材をさせて頂いたのは10月24日の月曜日なのだけど、この時点で、3日後の27日の東京地方の天気は曇りという予報になっていた。

この例について、予報の作り方を具体的に教えていただいた。

 

「次の図は、26日21時の状態を予報した図です。700ヘクトパスカル、上空3000mくらいの湿った空気の領域を縦線で区切った領域で表示をしています。」


写真がぼけていてごめんなさい。縦線の灰色の部分が湿った空気をあらわしています。26日21時の図。

「これは代表的に見るために、3000m、700ヘクトパスカルの状態を見ていますが、上空1500m付近に相当する850ヘクトパスカルや、それよりもっと低い下層の状態も数値予報では計算できますので、それらの資料も選び出して見ることができるようになっています。

これらで、だいたい湿った空気が入り込んできているということになりますと、曇りというふうに判定します。

―なるほど。空気が湿っていると曇りという感じなんですね。


こちらは27日午前9時の図。東京付近は縦線の領域に掛かるか掛からないかといったところ。

「湿った領域がこの周辺に広がっている状況で、それが明日の夜にかけて東に離れていくということですので、このほか、上空3000m以外の層の湿った空気の流され方や、移動のタイミングを見て、晴れてくるタイミングを見る、ということになっています。」

―この例だと、27日の朝は東京付近はまだ曇りということですか。


 

27日午前9時の予想図

そのほかの例も

左の写真は、27日の午前9時についての予報図になっている。

「これは地上付近の気圧配置を表したものですが、北側に高気圧があって、南側に気圧の低い部分があるという形になっています。」

―「H」と「L」ですね。

「そして、この点線(矢印で示したもの)で囲まれている領域が、26日21時から27日午前9時までの12時間の間に、モデルの中で雨が降るというふうに予測した範囲になっています。」

―あ、雨の降る範囲も予報として出力されるんですか。

「はい。この図では12時間というまとまった間隔で出していますが、雨の量を1時間ごとや3時間ごとに分けて表示することもできます。

これらが基本的に雨を予想する一つの判断材料になります。

あとは、レーダーで捉えた海上での雨の降り方が、数値予報で予想した雨の領域と比較して、十分妥当かどうかなどの判断をした上で、天気予報を組んでいく、ということになります。」

 

上で教えていただいた例は、予報をつくる際の判断のごく一例にすぎなくて、実際には予報官の方は、このほかのありとあらゆる学問上の知識や経験をつかって予報を作成していくことになる。

天気予報は、気象庁の本庁だけでなく、各地の管区気象台や地方気象台からも発表される。地方気象台はだいたい各都道府県にひとつずつ設置されていて、その地域の地形などによる特有の気象特性を考慮した、より細かい予報を作成している。

そのような例として、東北地方に吹く北東風「やませ」があるらしい。

海から、しめった東からの風が吹くと、関東や東北地方の場合はくもりになりやすく、これは関東地方での数値予報が上手くいかない典型的な例だ、とのこと。


気象庁の天気相談所。上のような手順を経て発表された東京地方の天気予報が書き込まれている。

 

 

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