青汁、激辛スナックはなんとか撃破。今度はそうしたフィジカルな刺激ではなく、メンタルな方からも攻めてみたい。そう思って借りてきたのは悲しい名作絵本たちだ。
「ごん、お前だったのか…」
まず読んでみたのは「ないたあかおに」と「ごんぎつね」。ともに悲しいラストシーンが印象的な名作だ。子供の頃に親しんだ本だが、大人になって久しぶりに読んでみると、また格段の思いが湧いてくる。
でも今日の自分は笑顔でなくちゃならない。顔で笑って心で泣いて。
そんな状況が作品をより感動的にさせる。赤鬼を思って姿をくらました青鬼はどうしてるんだろう。ごん、お前ほんとは兵十と友達になりたかったんだろ……。
こみ上げてくるものをこらえつつ、続いては「かわいそうなぞう」。
こちらは実話をもとにしてある分、迫ってくるものは強い。そしてお気づきのように、本がでかい。普通の大きさの本は貸し出し中で、大勢に読み聞かせるための特大版しかなかったのだ。
話は悲しい、でも顔は笑顔、そして本が異常にでかい。この状況をどう解釈したらいいのかわからなくなってきている。頭が混乱する。
そういう事態も想定して、こんな本も借りておいた。
さっぱり頭に入らない
ストレスを解消するためのセルフコントロール術。ただ、笑顔で難しいことが書いてある本を読んでもさっぱり頭に入ってこない。どうすればストレスを解消できるか、その一番の答えは今すぐこんなばかげたことをやめろということではないだろうか。
●シーン7:笑顔でハンマー
もうやだよう
自分の頭を木槌で殴る。ごつんごつんという音とともに走る痛み。写真が少し斜めになっているのは、妻が笑いながら写真を撮っているからだ。
●シーン8:笑顔でタマネギ
そろそろ夕刻、休みの日ということもあって夕飯はカレーを作って済ませようということになる。ここで新たにタマネギを切るというミッションが発生した。
外側の皮をむいてる段階でこの状態
これは割となんとかなるだろうと思って始めてみたが、早い段階から目にはかなりの刺激が。そういえばタマネギを切るのは久しぶりだが、こんなにきついものだったか。
うわー、いてえよう
本格的に切り始めてみると、みるみる目が痛くなってくる。これは予想以上だ、うわー、たまんない。
そんな私に、妻が「ほら、笑顔がないよ!」と言い放つ。
勘弁してくれー
しまった、と思ってなんとか取り繕ったのがこの表情。これを笑顔と言っていいのだろうか。口元こそなんとか緩ませているが、全体的には苦悶の表情。
私は一体何をやっているんだろうか。
わかりきってた答えが今ここに
●自分らしさを大切に
笑顔でいることのすばらしさ。自分が気持ちよくいられるだけでなく、人にも好かれるはずだった。
それがどうだろう。この結果は。
いや、ほんとはそんなこと、最初からこうなるってわかっていたのかもしれない。やっぱり大事なのは、自分らしく自然体でいること。それが一番なのだ。
なんだこの結論は。
もちろん導き出されたその答えに異論はない。時に人は当たり前のことに気づくために遠回りしなくてはならないということなのだと思う。