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特集


ひらめきの月曜日
 
大声で叫びたい

中学校のころ、夏休みの誰もいない体育館ででかい声でただ叫ぶという遊びをよくやった。あの頃私は演劇部に所属しており、発声練習をかねた遊びだったが、あれは気分がよかった。

そういえば腹のそこから大声を張り上げたのはいつが最後だろう。あの、ぶわーっと、体の細胞が解放される感じ、ずいぶん味わってない。

久々にでかい声を張り上げるべく、適所を探してまわりました。大人の女が気兼ねなく馬鹿大声を張り上げられる場所はあるか? モニタ越しに野生の雄叫びはこだまするのか?

(text by 古賀 及子

心置きなく一人叫ぶぜ!

叫ぼう! と、するのだが……
(ボックス内のいかにも近所の店っぽい内装にもご注目ください)

カラオケボックスで叫ぶ

大声で叫びたい! そう思ってまずやってきたのはカラオケボックスだった。みんなが大声で歌いまくる場所だけに、気兼ねなく大声が出せそうだ。

一人でカラオケボックスに来るのも初めてだが、歌うのではなく叫びに来たのも初めて。今回は張り上げた大声っぷりを数値でも確かめるべく、騒音計を準備して個室へ。ノリノリだ。

が。いざとなるとどうにも叫びずらい。マイクを当てずに地声で叫ぼうとするのだが、地声の全力の叫び声って考えてみるとカラオケの歌い声より大きいのではないか。

騒音計を口に近づけ「わーっ」と叫ぼうとするが、どうも気がひける。近所の小さなカラオケ屋に入ったのも失敗だった。店員が何事かと駆けつけてきそうだ。

大声を張り上げるのと、大声で歌うのは違う! 思わぬ叫べなさに驚く。仕方がない、次へ行こう! カラオケボックスをあとにした。

仕方がないので1時間普通に歌った。なお最高89.1デシベルは→


梶芽衣子「恨み節」の♪馬鹿な、馬鹿な、馬鹿なおんなの♪のあたりでマーク

叫び場データ「カラオケボックス」
気兼ねナシ度☆☆☆☆☆
開放感☆☆☆☆☆
大声度89.1デシベル
ただし、カラオケ音込+マイク使用)
・叫ぶのと、歌うのとでは全然違う
・せめて誰かと一緒ならなんとかなったかもしれない
  
曇り空、夕方、新宿御苑

いきます!

仕方がないので寝転ぶ。あ、トンボ

狭い場所がだめなら、広い場所はどうか

行き当たりばったりで公園へとやってきた。公園では以前にもデイリーポータルZのからみで一度大声で叫んだことがある(特集「音でもようを作る」)。あのときは代々木公園へ行ったが、今日は新宿御苑へ。

閉園ぎりぎりに潜入すれば人も少なく叫びやすいのではと16時にやってきた。

閉園間近の園内は思いのほか人が多かった。くつろぎの時間をすごす人々が行き交う。こんなハズでは……。

「あー!」

騒音計を手に叫んだつもりではあったのだが、ほとんどささやいていた。

だめだ! 叫べない! なんだか、新入社員の度胸試しみたいになってないか。ここで叫ぶなんて無理っすよ、先輩。 

「音でもようをつくる」の時のように叫ぶための理由でもあればいいのだが(あのときは声の振動で砂をふるわせるために大声を出す必要があった)、ただただ叫ぶというのは非常にやりづらいということが分かった。

簡単だと思っていた「叫ぶ」ということの奥深さに気づかされるばかり。ああ。

そうだ! 周りの目が気になるのだったら、周りの人がみんな叫んでいる場所に行ったらいいんじゃないか。

続いて行くのは、遊園地。そう、絶叫マシンでならさすがに誰も絶叫しても文句は言うまい! いやっほう!

叫び場データ「新宿御苑 芝生」
気兼ねナシ度★☆☆☆☆
開放感★★★☆☆
大声度

72デシベル
(セミの鳴き声込)

・叫びというよりほぼ、ささやき
・理由なき叫び声は上げづらい
・代々木公園の方がパフォーマーが多く叫びやすかったかもしれない

 

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