その時だった。地面がグラリと大きく傾いたように揺れた。
「あ、地震」と思う間もなく、テントの中の風鈴が「グワッシャグワッシャ」と音を立てて跳ねるように揺れ、女の人の「キャー」という悲鳴が聞こえた。テントの内側にいたお客さんが、慌てて外に出る。
私はというと、脚に根が生えたように、プラチナ風鈴の下に突っ立っていた。「風鈴に潰されて死ぬのか。でも40万円と一緒だしな」と、一瞬だけ思った。(一瞬だけですよ)
地震は、わりとすぐに収まったように思う。外にいたせいだろうか。
傍にいたカップルが「人が少なくなった今のうちに、プラチナ風鈴に触ろうよ」と言っているのを聞いて、人間って強いなーと思いながらテントを出ると、境内はこんなことになっていた。 |