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ちしきの金曜日
 
大盛り料理に挑戦!! 死闘横浜編

ほんとにこの先にお店があるのだろうか?

大トリは市場食堂のかき揚げ丼

いよいよ横浜大盛りツアーもラスト1軒になってしまった。最後は市場で働く人々のための定食屋だが一般客にも開放されているお店、その名も「市場食堂」。名前からして強敵そうな雰囲気だ。早稲田の悪夢が甦ってくる。しかし最後なので気合いを入れて完食したい。

24時間営業と聞いて終電間際にやってきたがお店が近いはずなのに人っ子一人歩いていない。本当にこの先にお店があるんだろうか。不安になってきた。

しかし市場の手前までたどり着くと「市場食堂」と書かれた電光掲示板。よかった。閉まってないようだ。急いで中に入る。


電光掲示板。よかった、開いてるみたいだ。
何度も書くがこの先に本当に食堂があるのか……。

あった! なんだかアジアの屋台っぽい雰囲気。
注文票に自分で記入する仕組み。ごはん1300gはさすがにあきらめて650gにしました。

異国情緒あふれる食堂。

住宅街から隔離された市場だけあって、なんだか食堂も不思議な雰囲気だ。なんだか日本っぽくない。雰囲気は台湾や香港の街の屋台といった感じだ。

中に入ると夜も遅いというのに人がけっこういた。所狭しと壁に並ぶメニュー。とにかくメニューの量がはんぱなく多い。

いろいろ興味深いメニューが多かったが、ここは噂のかきあげ丼を食す事にした。この市場食堂はファンも多いらしく『かきあげ丼 市場食堂』で検索をかけるとさまざまなサイトで特大かけあげ丼の話が取り上げられている。

さあ、いいよ喰らうぞ。もうこれが最後の戦いだ。


大盛りかき揚げ丼(800円)。何かへの八つ当たりみたいにかき揚げがたくさん乗っています。

食欲の果てにあるもの。

ひたすら箸を動かし続ける。無理はしないでおくのがデイリーポータルZのルールなのだが、今回にかぎっては少し無理をしている気がする。

ここまで僕はひたすら大盛り料理を食べてきた。今こうして記事をつくる段において、なんでこんなに必死に食べているんだろう、と思う。確かにてんこ盛りに盛られたかきあげ丼やカレーの迫力を伝えたいがために取材に向かっているわけだが、それだけではない感情が芽生えつつある。

食べ物を食べるという行為はそのまま生きるという行為に置き換えられる。生きるために僕らは食べる。
生きるのは悩みが尽きない。悩みの果てに「あー、なんで自分は生まれてきたんだろう」なんて事を考えたりする時もある。そんな時僕は気が済むまでごはんを食べて寝る事にする。そうすると少しは気分が回復する気になる。食べるという行為は動物的だ。動物はなぜ生きるのか、なんて命題は考えない。ただひたすら目の前にある食事を食べる事のみを考える。人生には味わいたくないぐらい辛い事もあれば、得体の知れない不安に駆られる事もある。そんな気分も含めて消化して生きていかなくてはならない。どんなに悩んでも、僕の胃袋はまだ生きている。そんな実感を得たいがために、食べているような気もする。食べた分だけ、僕は未来に生き延びるのだ。

そんな事を考えてもみたが、ひょっとしたらあまりの満腹感で変になっていただけかもしれない。


ごちそうさまでした。

食べ終わった後、隣に座った酔っぱらいのおじさんが話しかけてきました。悪い気はしないので一緒に話していると、おじさんは僕に「これ知ってる? 30年後には東京と横浜と川崎の工業地帯から工場がなくなるんだ。環境が悪いからさ。役所が言っていた、間違いない」と。真偽のほうは調べようがないけど、おじさんの分かったような分からないような話を聞くのは楽しかったです。

市場食堂
横浜市神奈川区山内町1 中央卸売市場青果部の裏
045−441−1919



 

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