食欲の果てにあるもの。
ひたすら箸を動かし続ける。無理はしないでおくのがデイリーポータルZのルールなのだが、今回にかぎっては少し無理をしている気がする。
ここまで僕はひたすら大盛り料理を食べてきた。今こうして記事をつくる段において、なんでこんなに必死に食べているんだろう、と思う。確かにてんこ盛りに盛られたかきあげ丼やカレーの迫力を伝えたいがために取材に向かっているわけだが、それだけではない感情が芽生えつつある。
食べ物を食べるという行為はそのまま生きるという行為に置き換えられる。生きるために僕らは食べる。
生きるのは悩みが尽きない。悩みの果てに「あー、なんで自分は生まれてきたんだろう」なんて事を考えたりする時もある。そんな時僕は気が済むまでごはんを食べて寝る事にする。そうすると少しは気分が回復する気になる。食べるという行為は動物的だ。動物はなぜ生きるのか、なんて命題は考えない。ただひたすら目の前にある食事を食べる事のみを考える。人生には味わいたくないぐらい辛い事もあれば、得体の知れない不安に駆られる事もある。そんな気分も含めて消化して生きていかなくてはならない。どんなに悩んでも、僕の胃袋はまだ生きている。そんな実感を得たいがために、食べているような気もする。食べた分だけ、僕は未来に生き延びるのだ。
そんな事を考えてもみたが、ひょっとしたらあまりの満腹感で変になっていただけかもしれない。
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