材料買い出し
困った時の東急ハンズ。というわけで、筆のリサーチも兼ねて、まずは筆売り場にやってきた。
…あるある、動物の毛を使った筆が、たくさん置いてある。
他にもリスやブタなど、いろんな種類の動物たちがいた。
それにしても、ブタやタヌキの毛が、筆に加工されるに足る長さがあるとは知らなかった。猫の毛の長さに不安を感じていたが、どうにかなりそうである。
ところで、どうも私は東急ハンズで「○○を作りたいんですけど」と店員さんに声を掛けることが苦手だ。デイリーポータルZの工作部員・乙幡さんを見習ってどんどん話し掛ければいいのだろうが、今回もついに言い出せなかった。情けない。
というわけで、カンだけを頼りに材料を揃えていく。とりあえず麻糸や接着剤、軸になる木やピンセットなどを購入。
「ま、なんとかなるだろう」と、東急ハンズを後にした。 (この甘い判断に、後々困ることになるのですが)
筆作り、スタート
さっそく筆作りに取りかかろう。
なにか参考になることでも載っているかと、筆の売り場に置いてあったパンフレットをもらってきたのだが、中に書いてあるのは主に材質に関することのみで、当然ながら「筆作りのポイント」のようなことは書かれていない。
それでも、制作過程にある筆先の写真を見られただけでラッキーだった。そうか、最初は毛を束ねることから始めればいいのだな。
やはり筆の肝は、その頭の部分だろう。この部分に筆の出来の成否がかかっていると言っても過言ではないだけに、気合いが入る。
まずはグチャグチャに絡まった毛を、一本一本真っ直ぐに並べ直すところから始めのだが、これが非常に面倒くさい。とにかく毛が細すぎるのだ。
せっかく揃えた毛が飛ばないように、くしゃみ厳禁。ため息も厳禁。蒸し暑いからと扇風機の風に当たることも、当然許されない。無風状態のなかで慎重に毛をつまみ、キレイに並べていく。
……。(30分経過)
いっこうにはかどらない作業に業を煮やし、早くもピンセットを放り出した。手だ。手を使おう。
毛の塊の中から数本ずつをまとめて取り出し、長さを揃えて並べていく。いやあ、手って、指って、本当に便利ですね。人間って素晴らしいですね。
30分ほど作業を続けて、なんとか毛の方向が揃った。