●調理編

「つぎはいよいよ、調理編です」
「おお、調理。大塚さん……料理得意だったっけ？　食べ物記事は結構書いてるけど」
「いや、最低限のことしか出来ません。あと作業が一段階のものしか作れません。いためる、とか。茹でて、つぶして、揚げて、みたいなのは絶対やりません」
「……で？」
「いや、あのーダイエットクレイジーだったとき、こんにゃくの調理だけは、研究してたのね」
「へー」
「こんにゃくだけ食べてれば、絶対に痩せますからねえ。しかも市販のダイエットフード食べるより、罪悪感が少ない」
「まー、こんにゃくは普通に食べるもんね」
「うんそう、こんにゃくは一般人も食べるからね」
「一般人て……」
「で、まずは、さしみこんにゃく」

「……料理してないじゃん！」
「いや、まあこれは前フリ。でも美味しいよ、カロリーは付けるミソの分だけだし」
「美味しいけどさ」
「次、たまこん」

「めんつゆの素と一緒に、ナベに入れて煮ます。味がしみたかなー、と思ったら完成」
「……これ、料理か？」
「料理だよ！」

「美味しいけどさ」
「美味しいでしょ？」
「すごく美味しいわ、たまこん」
「美味しいのよねー。これでローカロリーだと思うとねえ。なんでだろう、って思うねえ。
次、必殺・しらたきパスタ」

「できたできた」

「……長くない？　これ」
「あ、そうだ、そうそう、しらたきって長いので、テキトーに切ってから使ってください」

ずるずるー。

「……美味しいじゃん！」
「でしょー」
「意外なまでにウマい」
「これね、タマネギとかも一緒に炒めて入れるのもいいんですよ。マクロビオティック（食餌療法の一種）の考えでは、タマネギは脂肪をとかす素材、っていう話だから。
あ、でもマクロビオティックだと、電子レンジ使っちゃいけないんだった。レンジにかけると、食べ物が、身体を冷やす陰の方向に変わっちゃうんだった」
「……大塚さん、健康オタクだ」
「うーん、でも今は実践してないよ。レンジがんがん使うし。発芽玄米の、電子レンジでチンして食べるやつとかよく食べるんだけど、これ、健康だか不健康だか分からない！　とか悩みながら食べるもの」
「……倒錯だ！　倒錯っ子だ！」
「えへへー」
「……ところでこのしらたきさあ、ケチャップで炒めても、結構いけるんじゃない？」
「あ、やってみようか」

「……美味しいじゃん！」
「美味しいな、これ」
「新メニュー開発ですね」