目撃者、いました!
さらに捜索と聞き込みを続行。どこを探しても猫がいないという怪現象はそのままだ。捜査範囲は目撃場所から半径50mぐらいに絞って行っていた。もう少し広げた方がいいだろうか、そう考え始めたときついに目撃証言が!
証言3 現場近辺に暮らす方
|
あっちの方で見たらしいわよ |
「私じゃないんだけど、近所の方がこの辺りでアライグマを見たって話は聞いたわね」
--えっ、アライグマですか?
「いや、本当にアライグマかどうかは分からないらしいんですけどね、顔が細くて鼻筋が通ってたって」
--おお、私達が見たのと近いみたいです。いつ頃ですか?
「2,3週間ぐらい前かしら。夜だったっていうからあんまりハッキリ見えなかったそうだけど」
はっ! そう言えば、私が目撃したのも夜。アライグマもハクビシンも夜行性だ。こうなると、捜索時間を夜間にした方が現実的かも知れない。
夜の捜索
そういった訳で日暮れから捜索を再開することに。懐中電灯と軍手着用で挑む。
|
出てこい出てこい |
日中回った辺りをもう一度丹念に回る。目撃時間は夜中の1時ごろだったのだが、さすがにその時間一人で捜索するのもはばかられる。どうかなと思いつつ20時ごろスタート。
この日はなま暖かい風が異様に強く吹いていた。空は雲が覆い、その隙間からときどき月光がさしてチラチラあたりの光度が変わる。住宅街は暗く人通りも昼間に比べるとずっと少ない。……こわい。
|
妙な雰囲気の天気 |
ひと通りまわってみたが、人もいなければ猫もいない。アライグマもハクビシンもいない。私しかいない。
米屋の女将さんが猫がたくさん集まるといっていた例の公園にもやって来た。勇気を振り絞って茂みをかき分けてみたが、やはり何もいない。
|
いない? |
……? 誰か、いる?
ふと人気を感じた。振り向くと、茂みから少し離れたところにあるベンチに、人が。何をするでもなく、ただ手をひざに置いて座っている。わあー!
驚いて走って逃げた。いや、逃げたという表現は失礼か。ただ単に公園で休んでいただけかもしれない。けれど怖かったのだ。誰もいない公園で夜一人でベンチに座るサラリーマン風の男性。
結局そのままビビって帰ってきてしまった。家に着くと、テレビで「トリビアの泉」がやっていた。なんだよ、まだ22時かよ。
結局、謎の生物は見つからなかった。ハクビシンだったのか、アライグマだったのか、それともまた別の何かだったのか……。怖いので調査は続行せず謎のまましばらく放っておこうと思います。
夜の21時があんなに怖いと思ったのはいつぶりだろう。 |