●布団でビーチタイム
次にやってきたのは外房の浜。ちょっとした入り江のようになっているところで、浜になっている距離こそごく短いが、そのためなのか波も穏やか。寝るのにはちょうどいい。
もっと気候があたたかくなればここにもビーチで寝転ぶ観光客が来るのかもしれないが、さすがにまだそうした人は見当たらない。仮にそういう季節になっても、布団持ってくる人はたぶんいない。
キャンプ禁止の看板が少々気になるが、布団に寝るというのはキャンプというのもまた違うと思う。
この実践のはじめの頃に感じた違和感はもうない。布団ってすばらしい、その中にいる自分を楽しむことができる。やってしまえばなんてことはない。
●エクストリームな睡眠へのどうでもいいパッション
続いて訪れたのはちょっとした崖の下。自然との一体化はいいが、だんだんむきになってきている自分がいる。
風が強いこともあって、あんまり安らかじゃない。ただ、布団にもぐってしまえばそんなシチュエーションも全て無効化できる。石が転がる地面のゴツゴツも布団のクッションがやわらげてくれる。
やっぱり布団ってすごい。かなりの極限状態でも中にもぐって目をつぶれば、そこはいつものあたたかい国だ。
●布団ファイナルバトル
崖の下でもその包容力を発揮した布団。そのポテンシャルには驚かされるばかりだが、ならばその限界を知りたくなるというのもまた人の心。
やってきたのはさっきとは別の崖の上。海の青さとはこんなに深い色だったか。あと、下を見ると結構高いぞ。
とにかくしきます。何が自分をそうさせるのかはわからない。
安らげない。ちっとも安らげない。
自然の中にいるのに、さすがにここでは布団の包容パワーよりもびびる気持ちの方が先に立つ。そういう危機を感じる力がないと、人間としてもまずいと思う。
この状況では自然に抱かれているとは言えない。変に寝入ってしまって、寝返りでも打とうものなら非常にまずいことになる。
●ほんといいですよ、布団
実際、布団の「その場を別の世界に変える力」というのは予想以上にすごかった。心の中にある常識を捨ててその中で目をつぶれば、いつもの布団ワールドだ。
持ち運ぶのが大変ということを度外視すれば、布団がいつもそこにあるというのはすばらしいことだと思う。でも、布団の大きさは度外視できないので現実には難しいことだとも思う。
ひきこもっているのかアウトドアなのかよくわからないまま、どこでも布団プロジェクトのレポートとしたい。