最近よく「おひとりさま」という言葉を聞く。
先日もテレビで特集されていた。 「未婚既婚に関わらず、女性1人でゴハンを食べに行ったり旅行をしたりするとオンナを磨ける」という番組内容だった。
…ちょっと待て。こちとら自慢じゃないが、おひとりさま歴は年季が入ってるぞ。だけどオンナっぷりは上がるどころか、時々オトコと間違われるくらいだ。
なんでだ。修行が足りないのか。
そんなわけで、普段あまり1人では行かない場所ばかりを選んで「おひとりさま」を堪能してきました。
(高瀬 克子)
ゆうえんち編
「普段1人では行かない場所ってどこだろう?」と考えて、まっ先に思い浮かべたのが遊園地だった。
すでに入場券売り場からして、カップルと家族連れで溢れている。
園内は、さぞかし人でごった返してるんだろうなぁ。その中に1人でポツンといるのって、どんな感じなんだろう。
…少し気持ちがひるんだが、まぁ、何ごとも経験だ。
窓口で「おとな一枚ください」と切符を求め、さっそく中へ入った。
園内をぐるぐる歩いているだけなら、別になんてことはない。楽しげな人々を見ることで、こちらの気分も良くなるくらいだ。ただ、問題は立ち止まった時。
ぽつーん…。
「明るい場所でこそ陰は濃くなる」という通り、イヤというほど1人がくっきりと浮かび上がる。うーん。さすがに身の置きどころがない。
「焼きソバを食べよう」と思っただけなのに、遊園地の中では、それすらも難しい。いや、難しくはない。ただただ気まずい。
ベンチがひとつ空いたので、座った。しばらく座っていた。まわりをボーッと見る。まるで風景の一部になったかのように、見る。
…5分も経った頃だろうか。この空間に慣れたのが自分で分かった。
「よし、焼きソバ食べよう!」
近くでボーッとタバコを吸っている青年がいたので、写真を撮ってもらえないかとお願いしたら、快く引き受けてくれた。
…写真を見て気が付いたが、遊園地で「おひとりさま」をやったところで女っぷりなど上がるハズがない。写っているのは、昼間からビールをかっ喰らう、ただの年増女だ。女に見えるかどうかもあやしい。
まぁ、要はいかに「ひとりを楽しめるか」ということですよ。それを実証するために、ここは腹も満たされたことですし、せっかくですから何か乗り物に乗ることにしましょう。