効果を調べます
今回の検証に用いたのは天柱(てんちゅう)というツボ。なにしろ視力が回復するツボらしい。すごくないか。今の若者のいったいどれだけが目の治療にお灸を思いつくだろう。かくいう僕もかなり目が悪いので普段はコンタクトレンズを使っているのだが、お灸で本当に視力が戻るのならどんな熱さにだって耐えるだけの覚悟はある。
とりあえずお灸前の普段の視力を測ってみることにした。今回はその違いを数値化するため、お灸前後に視力検査用の一部が切れた輪の向きが判別できる距離を測定して比較することにした。
お灸をする前では176センチ離れるとどこが切れているのかわからなくなる。176センチというとほぼ僕の身長と同じだ。ということは僕は裸眼だと足元すらぼやけるということか。改めて感じる目の悪さにテンションも下がる。
だけど僕にはお灸があるではないか。にんにく効果で強烈にツボを刺激したら視力が回復するかも。足元もしっかり見えるようになるかも。やった、テンション上がってきた。
お灸、してみます
それではさっそく視力回復のツボ、天柱にお灸をしてみよう。天柱は後頭部、髪の生え際付近で、首の2本の太い筋を押したときに痛みがあるところ。僕はよほど目が疲れていたのか、ちょっと押しただけでかなり痛いポイントが見つかった。ここをお灸でピンポイントに攻めればかなりの効果が期待できそうだ。
もしこのツボに即効性があるのならば、お灸をしながら視力検査を続けていればどんどんと目がよくなっていくのがリアルタイムでわかるのではないか、そう思って煙を立てながら視力検査を続けてみることにした。
しかし次の瞬間、一気に熱がきた。今回のは足のツボとは比べ物にならないほどガツンと痛い。立っていられなくなって思わず頭を抱えた。お灸が燃え尽きるのが先か僕が潰れるのが先か。こんなに時間の経つのが遅く感じたことはない。視力回復したさ一心でなんとか耐えた。
お灸が燃え尽きた後も、しばらくの間後頭部にじんわりとした熱が残っていた。その熱が体全体を温めてくれたのか、なんだかぽかぽかする。すごいぞ、お灸。
それでは期待と共に改めて視力を測りなおしてみる。
お灸後の計測結果
178センチ。
まあ確かにお灸前よりも2センチくらい遠くから記号が見えるようにはなった、という結果だが、それってほとんど誤差範囲なのではないか。だけどもしかしたら一日では結果は出ないのかもしれない。淡い期待を胸にとりあえず3日間同じ実験を繰り返してみることにした。
お灸二日目
お灸前176センチだった距離が、お灸後には179センチに。だいたい昨日と同じ感じだ。まあ距離が伸びたともいえるし、そんなの誤差だろうともいえるような微妙な伸び具合。
三日目
三日目は176センチから180センチへ。まあだいたい前の二日と同じような結果だ。だけど注目すべきはお灸前の距離。三日間すべて176センチなのだ。誤差ゼロ。この精度で計測しているとしたら、お灸後にはわずかながら視力が回復しているといえるのではないか。
完全に火傷です
そんななか一つだけ確かに形として現れた結果がある。三日間の苦行で後頭部にやけどが出来たのだ。最初はにきびか虫さされと思っていたのだが、あまりにピンポイントにツボの上に水ぶくれができていることから、火傷だと判明。痒い。
なにか微妙すぎて効果があるのかないのかわからない結果に正直困った。こうなったらお灸自体変えてみようかとも思ったが、市販の中では今使っているにんにく入りのやつが一番ハードなはず。他のものを試したところでこれ以上の結果が出るとも思えない。
ならば自分で作ってみてはどうか。調べてみるとどうやらモグサはよもぎの葉から作ることが出来るらしい。自分で作ればあのもりもりっと盛ったもぐさに火をつけるイメージ通りのお灸ができるかもしれない。