そもそもこの昭和島駅には工業団地しかなく、従って工場しかない。一応公道が走っており降りるのにはなんら問題はないが、自分とまったく関係のないマンションに入り込んでいるかのような気まずさがある。
環状に工場が並び、みちなりに歩いていくと10分ほどで元の場所に戻ってきてしまうその構造は、普通 の街ではまずあり得ないだろう。
かつてポール・オースターという作家がタンカーの乗組員をしていたときに、油田をみて「世界の核心に触れた気がした」というようなことを書いていたが、この街をみていると同じように、世界は工業が成り立たせているのだと実感することができる。思わずそんな社会科見学の感想みたいなことを書いてしまいそうになる街並みだ。 |