大将が声をかけてきた。年齢、職業をきかれた。きみたち背が高いね、この店はゲイの人が来るのが多いんですよ、と言われた。
ああ、もしかして、タカセさんとカップルだと思われてるのか……と思った。
「うーん、きみは埼玉出身? そうか、埼玉のほうには、よく日本刀を買いに行ったよ、むかし」
「え、えええ、日本刀?」
「あっちのほうって、セメント屋さんとかあるでしょう? いい砂鉄のとれるポイントもあるんですよ。だから日本刀作ってる人がいるんですよ」
「へえ〜」
「日本刀って、取り決めで、年間2本しか作れないんだよね」
「え、ひとりの職人さんが? そりゃ高いですね……」
日本刀を買ったことのある人に、初めて逢ったなあ、と思いながら話をきく。
「前々から不思議に思ってたんですけど、日本刀って運ぶときってどうするんですかね? 普通に持って歩いたら、銃刀法違反ですよね?」
「あれはねー、許可証みたいのが出るんですよ。どこからどこに運ぶって申請して」
「へえ〜」
「日本刀はいいですよ。油ぬってねえ…」
「油?」
「油ぬって手入れするんですよ。で、ときどきとり出してながめる」
「へえ〜…」
大将の話は大変に興味深かったが、私たちの修行が足りないせいか、くつろげることは出来なかった。
メインディッシュの焼きはまぐりを食べ、 |