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特集


ひらめきの月曜日
 
箸を極める

特化した箸たち

店内で、いちばん私の興味を引いた箸がコレだった。


一体なにが違うというのでしょう

用途別の箸を、ひとつひとつ見てみた。どれもちょっとした工夫が施してあって、いちいち感心させられる。


■ 納豆用
先が太くて丸い。店の方いわく「どちらかと言うと混ぜる用ですね」
■ 豆腐用
今度は太くて角張っている。確かにこれは豆腐が崩れなさそうです
■ ラーメン用
麺が滑らないように、切れ込みが入ってます。なるほどねぇ
■ パスタ用
先端部分がねじれてるのがお分かりいただけますか? スクィーズ!
■ うどん用
縦方向に溝がついてます。これで実際にうどんを食べてみたいものです

箸のプロ、高橋さん。とても親切に教えてくださいました

お客さんの質問に答える高橋さん。場所柄なのか、綺麗な方が多いです

これは「あくまで目安」だそうです

よろしくお願いします

箸について教えてくださったのは、店の代表である高橋さんだ。

「いやー、この仕事を始めてから、すっかり詳しくなりました」とおっしゃる通り、店にあるどの箸について訊ねても「ああ、この箸は…」とスラスラ解説してくれる。

―― 鉛筆型の箸、インパクトありますね。
「あれは福井で作られたペンシル箸というんですが、とても売れたんです。他に変わったものでは、ポッキー箸というのもありましたよ」

―― ポッキーですか! ところで、どの箸が一番売れてますか?
「最近は、塗り箸よりも削り箸が人気です」

―― そういえば、塗り箸って最近あんまり見ないですよね。
「ものすごく稀ですが、デリケートな人は箸に塗られた漆でさえカブれたりするんです。蜜蝋を買ってくれば、自分で塗り箸は作れるんですが、まぁ、そこまでやる人はなかなかいませんよね(と、作り方を説明)」

―― それ、実際やったらすごいです。じゃあ、箸を選ぶポイントって何でしょう。
「まずは長さ、太さ、重さですが、それに加えて先の細さと、しなりですね」

―― しなり?
「物を挟んだ時に、どのくらいしなるかというのも基準になるんです」

なるほど「しなり」はノーマークでした。他にも「食器洗い機は箸に悪い」とか「最近は木の質が落ちているので、いい素材で箸を作ろうとすると値段がどんどん高くなる」といった話をたくさん聞かせていただいた。


私だけの箸を探す

さっそく「箸のオーダーメイドは可能か」を聞いてみようとしたところ、店内にこんな色紙を発見。


私だけの箸、ぜひ削ってください

「あのー、箸を作ってもらうこともできるんですよね?」
と、色紙を指差しながら訊ねてみると、
「はい。その場合は、まずこのへんの商品を見て、作りたい箸のイメージを膨らませるといいと思います」と高橋さん。


膨大な量のサンプル

「これこれ、こんなのがいいです!」
もっと迷うかと思ったが、お気に入りのひとつは、わりとすぐに見つかった。即決だった。
「あー、これですかー…」
こころなしか高橋さんの声が小さい。


重さ、手触り、長さ、すべてが完璧

「えーと、この箸は黒檀のいいのを使ってますから、値段がですねぇ、1万円以上しちゃうんですが…」
「えっ!」
「でも、大事に使えば何年ももちますし、長い目で考えれば、決して高い買い物じゃないと思いますよ」

そうですよねぇ。…でもすみません、今の私にはとても手が出ません。

ということで、高橋さんも自宅で使っているという「ずんぐり箸」を購入し、店を出た。


五角形のずんぐり可愛い箸。縞黒檀。ちなみに3675円でした。大事に使います

「銀座夏野」青山店
渋谷区神宮前4-2-17 青山夏野ビル1&2F

いい箸を購入できてとても嬉しかったのだが、なにか物足りない。そういえば高橋さんが「塗り箸は自分で作れますよ」と言ってたなぁ…。

店を出た私の足は、東急ハンズへと向かっていた。そう、漆を買いに行くのだ。やっぱり自分だけの箸、作ります。


 

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