スギ花粉に苦しむ奥多摩の人々
さすがにスギ花粉のメッカとあって、マスクをして歩く人の姿が目立った。
帽子を深々とかぶり、うつむいて歩いている。
何としても彼らを救わなくては。
奥多摩に足を踏み入れた事で、使命感めいたものが芽生えてくる。これはもう僕1人の問題ではない。奥多摩に住む人々の為、いや、東京都近郊で花粉症に苦しむすべての人たちの為、僕は奥多摩のスギ林に挑むのだ。
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駅前の交番に、「登山相談所」という看板が出ていたのでスギ林について尋ねた。
ここから一番近いスギ林はどこですか?
「一番近いもなにも、ここら辺はぜーんぶスギ林だよ。ははは」
交番の警官は笑ってそう言ったが、目の奥は笑っていなかった。スギ花粉には逆らえない。きっとそうやって諦めながら生活しているのだろう。
そんな住民たちの現状をもっと知っておく必要があると思い、近くの病院を訪問する事にした。
きっと花粉症で苦しむ人たちで溢れているはずだ。 |