不動産屋:もしもし、***不動産ですが。
筆者:あ、お世話になっています、安藤です。
不動産屋:ああ、安藤さん、お世話になっています。どうしました?
筆者:ええっと、先月、家賃振り込みました。
いきなり話を切り出す勇気がなかったので会話の糸口を探ってみようとしたのだが、なんだかわけのわからない告白になってしまった。
不動産屋:ええ、頂いています。それがどうかしましたか?
筆者:はい、あ、いいえ、あの、一つ個人的に教えてほしいことがあるんですけど。
不動産屋:どうぞ。
筆者:ええっと、駐車場とかによく勝手に止めたら10000円とか看板がありますよね。
不動産屋:ええ。
筆者:あれってどうなんですか。
不動産屋:どう、っていわれますと?
やばい、あきらかに不審がられている。だからきらいだ電話って。できることなら切ってしまいたいところだけど、家を借りている手前あまり変質者っぽい行動も避けたい。
筆者:いえ、ははは。要するにあの、罰金とかって決められた金額とかあるんですか。
不動産屋:罰金ですか、ええっと、ちょっとお待ち下さいね。
なんだこれ、中学生が電話で告白するときみたいな緊張感だ。心臓がばくばくいっている。
不動産屋:ええっと、駐車場の罰金の件とのことですが。
ここでちょっと年配の声の男の人に代わった。たぶん店長さんだ。一度会ったことがあるが、キザな感じがしてしかも体がでかくて体力ありそうで怖かったのを覚えている。
筆者:そうです、お忙しいところすみません。
不動産屋:金額には特に決まりはないです。5000円だったり10000円だったり、そこの地主さんが勝手に決めて看板を作ってるだけです。
筆者:そうなんですか。例えば勝手に止めてすごい金額を要求されたら、払う義務みたいなものはあるんですか。
不動産屋:いくら要求されたんですか。
筆者:いえ、まだですが、参考までに。
何かトラブルを起こしたのだと思われているらしい。そりゃそうだ、こんなこと聞けば誰だって疑う。
不動産屋:厳密には法的な義務はないと思います。あとはお互い話し合って解決してください。
筆者:そうなんですか。***さんの管理している駐車場にも貼ってありますよね。罰金頂きますって。あれって実際徴収してるんですか。
なんだかふっきれたのか質問が乗ってきた。電話だとでかい店長のキザな顔も見えないので怖気づくこともない。
不動産屋:うちの場合は10000円と書いていたと思いますが、実際には見つけ次第警察に連絡しています。罰金は特に取っていないのが現状です。
筆者:そうなんですか。ありがとうございました。
不動産屋:いくらって言われたんですか。
筆者:いえ、まだなんですが。
最後の方はなんだか親身になって心配までしてくれた。たぶん法外な金額を要求されて困って電話してきたのだと思ったのだろう。忙しいところいろいろ教えていただきありがとうございました。 |