ずずー。……お、辛い。
「3、麺にお酢を適量かけ、更に全量の3分の1程度をお召し上がりください」
酢を入れてみる。うむ、味がしまった。
「4、最後に、残りの3分の1の麺に、からしを混ぜてお召し上がりください」
うむ、さらに味がしまった。
「……冷麺のいろいろな味のバリエーションをお楽しみ頂けると思います。 次にピョンヤン冷麺をご注文された際には、お客様独自のお召し上がり方をお試しください」
……ずるずるーっと食べた。
上に載っている、肉の味を強く感じた。……というか、全体的に、非常に上品なトーンなのだ。
繊細な……水墨画みたいだ。
口を動かす。……頭の中に「律動体操」や「脱北者の書いた手記」や「映画『JSA』」や、伝統手芸の「ポシャギ」というパッチワークや……ノースコリアに対する、少ない、片寄った知識が浮かんでは消えて、いつのまにか食べ終わってしまっていた。
美味しい……のか? よく分からなかった。
でも確か私は、日本のラーメンマニアが「名店!」としている店のラーメンを、「美味しくないや」と思ったことがある。
……ますます分からなくなった。くやしい。
もう一度、食べてに行ってみたいと思う。
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