場所をうつしてトイザらス

巨大なおもちゃ屋だ。瞳孔が開いて走り回るコドモ、両親とはぐれてパニックになって走り回るコドモ、ダダをこねてほふく前進するコドモ、黙って純粋にほふく前進してるコドモ。いろいろだ。

トイザラスでいちばん盛り上がっていたのはコドモ用ののりもの売り場。どのコドモも夢中になって乗っている。

そしてもう帰るよと抱きかかえられた瞬間、みな泣き出す。

「ぶーぶ買うー ぶーぶー」
「ぶーぶぶぶぶ」
「ぶぶぶぶぶぶ」

「ぶーぶー」のBPM があがって「ぶぶぶぶ」になってゆく。「ぶぶぶぶ」と言いながら抱きかかえられてゆくコドモたち。

確かに電動のやつとか周りに人がいなかった僕も乗りたかった。

男の子も女の子も乗り物への惜別を惜しんで泣いていた。

コドモは一瞬しか泣かない

コドモの泣き声をさがしていて気づいたことがある。たとえばフードコートで背後から「びええ」と聞こえてあわてて振り返っても、コドモは笑ってるのだ。

コドモの機嫌はすぐにかわる。ひと声しか泣かないのだ。

泣いている姿が見えない。珍しい鳥か、きみら。

もちろん、びえーっと泣いているコドモもいる。差し出された食べ物が不満らしい。

ジュースの入った哺乳瓶で懐柔され、泣きやんでいた。

単純に口をふさがれただけかもしれない。