見知らぬ相手に電話をかける
まずはタウンページを開き、会いに行ける範囲内で見知らぬ相手を探す。
しかし、「勝手に似顔絵を描いて持って行く」という基本的には失礼な行為なので、ここは慎重に相手を選ばないといけない。なるべく優しそうな人がいい。そこで思い付いたのが、保育園の先生と獣医さん。
子供と動物を愛する人たちだったら許してくれそうだ。
そして、今回似顔絵を描くのは、弊社スタッフの多田。僕と2人で相手の声を聞きながら、見知らぬ人を想像し、似顔絵にしていく。
電話の会話をモニタリングしながら録音する用意をして、まずは獣医さんから攻めてみることにした。
緊張しながらダイアルをプッシュすると、3コールくらいで相手が出た。
「はい、●●病院です」
割と年配の男性の様だ。院長先生だろうか?
企画を説明する。
「ああ、なるほど。面白そうですけど、ちょっとこっちもバタバタしてまして……」
と断られてしまう。電話口の向こうでは、キャンキャン犬が吠えていた。
気を取り直して、次は保育園。
「もしもし、●●保育園ですが…」
今回は女性だ。年配で、ちょっとキツめの口調。明らかに警戒されている。
住「この電話の声から想像して、あなたの似顔絵をですね…」
相手「えっ?似顔絵を?」(苛立って)
住「ええ、似顔絵を」(小さな声で)
相手「で、私はどうしたらいいんですか?」(更に苛立って)
住「ええと……」(頭が真白に)
相手「……」
住「……」
ブツンっ! ツーッツーッツーッツーッ
切られた。
確かにそこまで考えていなかった。知らない者同志、特に用もないのにどんな会話を交わせばいいのか?
次ページから作戦を変更します。
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