「はい、おまたせしましたー」
え? これ小盛り? というくらい、量が多かった。198円パック焼そば1食分くらいはあった。
もぐもぐ。
「……うまい」
「うまいっす」
「麺は細くて、ちょっと固めで、ソースの味は強くなくて、粉の味自体が良くて…」
「うーん何かに似てる」
「沖縄の『ソーメンチャンプルー』に似てません?」
「うん、あと『ベビースターラーメン』にも似てる」
「似てるかなあ?」
「でも、今まで経験したことない味には違いないですよね」
「これは、ここでしか食べられませんね」
細切りキャベツしか入ってないのに、とても美味しかった。
後ろで、中学生たちが、楽しそうにおしゃべりしていた。
「……要は……っていうか実際のところ……だと考えるんだけどね」
中の男子のひとりが、一生懸命、難しい言葉を使おうとしていた。
「っていうかさあ、**商業の女の子って、カワイイらしいよ」
「**商業かあ」
「おまえ、行けるの?」
「えー、おれ、クラスで32人中、3番だよ」
彼らは喋りながらも、あっというまに、かき氷と大盛りヤキソバを食べきった。店の人に「ゆっくりしていっていいわよう〜」と言われながらも、「いや、俺ら、すぐ行きますから」と、大人ぶってこたえていた。
ここの焼そばは、彼らの中で、大切な思い出の味になるんだろうなあ……と想像した。
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