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特集


はっけんの水曜日
 
そうだ、ヤキソバの町へ行こう

マップをふたたびひろげる。

「ここ、門前町なんですね」
「お寺のあるほうに、行ってみましょうか」

『大光院』というところを、をめざして歩く。

知らない町を歩くのは楽しい。地元の人にとっては、見慣れてしまっている「変わったもの」に出くわすと、さらに楽しい。

珍しい肉を取り揃えた、お肉屋さんやら。



見たことのない種類の、贈答品の缶詰め入り花環の店やら。




「ワープロ」の看板やら。




パン屋さんの煙突(?)やら。




ばばばばばばばばばばばばばば、と駆け抜けていった、デコレーションバイクの軍団やら。




……歩いていると、やたら人なつっこい犬が寄ってきた。




わふわふ、わふわふ。

「あらあら、まあごめんなさいねえ、このコったら」

その家の奥さんが出てきたので、
「今、ヤキソバ屋さんを食べ歩いてるんですけどー、この辺でいちばん美味しいところって、どのへんなんでしょうー?」
と、きいてみた。

「そうねえ、清水屋さんっていう店が、有名かしらねえ」
「それは、どこにあるんでしょうか?」
「ああとねえ、あそこの角を右にまがって、まっすぐかなり歩いたら、『コメリ』っていう、木材とか売ってる店の、オレンジ色の看板が見えるから、その向かいに『清水屋』ってヤジルシの看板があるから、そこのところを左に入って歩くと、あるわよう」
「……ありがとうございますー」

男性だったら、こういう道案内の仕方、しないよなあ、看板の色とか、印象のみで説明するやり方は……この人も『地図の読めない女性』なんだろうなあ、でも私も『地図の読めない女』なので、ちょうどいいかもなあ、などと考えながら歩く。

相当テクテク歩いても、「オレンジの看板」はなかった。

「道迷ってないかな?」
「いや、もうちょっとまっすぐ、歩いてみましょう」

『印象派』道案内を頼りにして、そのまま歩いて行ったら……あった。


 

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