地図を確認して、次の店に行くために、駅前まで戻る。
「駅の反対まで、出ないとダメみたいですね」 「どうやって行けばいいんですかね?」 「駅員さんにきいてみますよ」
駅員さんに声をかける。 ついでに 「焼そばを食べに来てるんですけどお、マップとか置いてあるとこ、ないですかあ?」 ときいてみると、 「あ、ここにありますよ」 と、引き出しをあけて、パンフを出してくれた。
……駅構内に、置いといてくれればいいのにい。
マップをゲットした私たちは、地下道をくぐって、駅の反対側に移動した。
地下道をぬけると、輸入食品の店が、幾つかあった。
「あ、そうか。ここって、以前取材した、ブラジルタウンも近いんでしたっけ」 「海外から来て、この近辺の工場で、働いてるのかなあ」
反対側の商店街も、静かだった。閉まっている店も多かった。 ふと見上げると、ツバメの巣があって、ツバメの赤ちゃんが、頭を出していた。
目的の店「焼きそば館 まちのえき」は、駅前でいちばん華やかな雰囲気の、ミスタードーナッツの隣にあった。
「ここは、いかにも観光客向けっぽいですね」
中には、「太田市やきそば」のうんちくが書いてあった。「群馬県産の小麦、W8号を100%使用しております……」
オミヤゲなんかも売っていた。
やきそばは、小もり200円から。
「はい、いらっしゃいませ!」
ご主人は、すごく愛想がよかった。でも私たちの他に、お客さんはいなかった。
「小もり2つ、あとオレンジジュースとアイスコーヒーを……」 「ハイッ」
注文をとってから、麺を焼く。じゅーじゅーと音がする。
座って待っていると、ホットケーキのメニューが、目に入った。
「ホットケーキもあるんですね」 「……これ、全部違う種類のホットケーキかと思ったら、同じ写真が9枚あるんですね」 「テクノな感じですね」
「小もり2つのお客様、お待たせしましたー」
きたきた。 少し麺が太い。
もぐもぐ。
「……うまい」 「うまいですね!!」 「シコシコしてて……」 「小麦粉自体が、美味しいんですよ」 「すごい、すごい」 「そうかあ、この衝撃は……さぬきうどんのチェーン店が東京進出してきたときに、初めて食べたときのショックに似てますよ」 「レベル高いんだあ」 「全然違いますねえ!!」
感激する私たち。
「コンニャク入ってますね」 「うん、でも……太田市のヤキソバの。いちばんの特徴って何なんですかね?」 「横手市のは『茹で角麺』で、目玉焼きと紅しょうがが乗っていて、富士宮のは『蒸し麺』で、ラードを絞ったあとの『肉かす』が入ってるらしいです」 「で、太田市は……?」 「これがちょっと、調べたんですけど、いまいち分からなくて……」
1店だけでは分からない。また次の店に、移動することにした。