放っておかれることは小屋がほっ立て小屋になる過程で重要な要素のひとつであるが、それは単に朽ちていくことだけを示すのではない。ほっ立て小屋を取り巻く自然が小屋と一体化し、侵食していくというケースもある。ここではそうした小屋たちを見てみよう。
●飛び出せ緑の仲間たち
ほっ立て度 :良好 小屋度 :やや小
小ささゆえに逆に小屋感が薄れてしまっている点が残念だが、それでもすっかりさびついたくたびれ具合には好感が持てる小屋。 注意してほしいのは隙間から笹が飛び出してきている点だ。地面際の下部はともかく、壁と屋根の継ぎ目まで突き破っているのはかなりの勢い。ほっ立ち過ぎて侵食されはじめていることに気づいているのだろうか。
●なぜ、どうしてこんなことに
ほっ立て度 :激 小屋度 :良
本来ならばほっ立て小屋と呼ぶのは失礼だったであろう建築物。今ではすっかり植物の蔓にからまれてしまって、まともに使われていた頃の面影は見られない。こうまでなるともう取り返しはつきにくい。 エキサイティングになりすぎて廃墟と呼んだ方がふさわしいかもしれないところまで来てしまった感もある。
●共存の域へと到達
ほっ立て度 :爆 小屋度 :優
寂れた情緒をたたえるほっ立て小屋も、緑をまとうことでなんだかわからない迫力が出てくるという例。一朝一夕でここまでなりはしないだろう、長年の放置によって森と化している。 都市生活では観葉植物を部屋に置いて緑で生活にうるおいを与えると言うが、それも過剰になるとうるおいではなくなることを示している。もっさもさである。
●バランス感覚抜群の小屋
ほっ立て度 :優良 小屋度 :
緑との共生を図ろうとするほっ立て小屋たちだが、最も自然な形で成立しているのはこの例ということになるだろうか。 花に囲まれ緑に抱かれてこそいるが、だからと言って安易に山小屋風に走ることなく、あくまでほっ立て小屋としての風情を保っている。緑との共存もあまり過剰になることなく、このあたりで手堅くまとめておきたいものだ。