グラウンドへ……
中学生グループの練習が終わりグラウンドがあいた。 まずは高野君にカーブを投げてもらい、その曲がり具合を見せてもらう事にした。
僕の弟が構えるグラブめがけて高野君がカーブを投げ込む。 ザザッ!(踏み込む足の音) 高野君の指から放たれたボールは、高速に回転しながら大きな軌道を描いて曲がった。 パシーンッ!!(ミットの音)
何球か高野君の投球を見せてもらった後、いよいよ僕もカーブに挑戦する。 キャッチボールもままならなかったのに、曲がるのか?
「いや、大丈夫ですよ、キャッチボールもいい感じになってきたし」 「そうですよね、曲がりますよね」 「ええ、きっと」
握りのポイントは人さし指と中指。 投げる瞬間に人さし指と中指でボールに縦回転をつけ、更に手首をひねる事によってボールに斜回転を加える。そうする事で利き手と逆方向に沈んでいく変化球(=カーブ)が投げられる。
人さし指と中指を意識してボールをリリースするが、うまく回転をつけられない。 かといって回転ばかりを気にしていると、ボールがとんでもない方向にいってしまい高野君が走る事になってしまう。
一番簡単、って言ってたのに難しいじゃん。
それでも諦めずに投げ込むうち、何とか高野君の所までまともなボールが届く様にはなった。 でもその軌道はカーブにはなっていない。
「うーん、回転はいい感じですけどね……」
ミットを構える高野君も首をかしげる。