しずかな龍ヶ崎
「けっこう近かったですよね」
「まあ、上野から1時間ですからね」
私とニフティ編集部・林さんは、1両の電車に乗っていた。単線だ。
龍ヶ崎駅はJR佐貫駅から乗り換え、関東鉄道竜ヶ崎線のはしっこにある。
この「直通じゃない感じ」が自分の田舎に似ているので、親近感があった。私の故郷も東京から1時間だけど、途中で単線に乗り換えるせいで、ガクっとイナカ度が増すのだ。
「学生とお年寄りしか乗ってないですね。バスみたい…」
「そうですね。小さいし、かわいいし、この電車、運転してみたいなあ…」
林氏はうっとりと線路を眺めていた。
降りた駅も静かだった。ほとんど人もいない。
駅の待ち合い室には、古いゲームの匡体があった。子供は誰も遊んでいなかった。
「しずかなところですねー」
「きょう6日ですよね。コロッケの日ですよねえ?」
「盛り上がってないのかなあ」
町をとりあえず歩く。駅を出たら、すぐに商店街だ。
でもシャッターが降りている店が多い。
「……東京からたった1時間なのに」
「若い人がいる感じがしませんね」
「これは、町おこししなくっちゃ、って思うかもしれませんね」
私の田舎みたいに、最初から静かで、今も静かな町なら、町おこしする気も起きないだろうが………ここはきっと、かつては華やかな商店街だったのだ。
一度元気だった町は、再生したいだろう。
だからコロッケなのか。
早くコロッケが食べたい。
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