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特集


はっけんの水曜日
 
コロッケを買いに

コロッケ、すきだ。

母の作ってくれたやつも、お肉屋さんのも、スーパーのお惣菜コーナーのも好きだった。コロッケが嫌いな人って、いるんだろうか。ほくほく、あつあつ、ああイモ、イモとパン粉とくず肉が三位一体となって、パワフルな食べ物となる。安いうまい。ああコロッケ。

茨城県龍ケ崎市が「コロッケの町」だという噂をきいた。地域のサークルで、黒豆入やピーナッツ入りコロッケを作って大好評だったのがキッカケで、毎月、5と6の付く日を「コロッケの日」として、地域振興を図るんだとか。

「ど、どんなことになってるのかな!? 宇都宮の餃子みたいに、すんごいことになってるのかなあ!」
そう思って、行ってみたのです。

(text by 大塚幸代


単線の景色
龍ヶ崎駅前
シャッターの降りている店が多い
高齢者が多いのか……。

しずかな龍ヶ崎

「けっこう近かったですよね」
「まあ、上野から1時間ですからね」

私とニフティ編集部・林さんは、1両の電車に乗っていた。単線だ。
龍ヶ崎駅はJR佐貫駅から乗り換え、関東鉄道竜ヶ崎線のはしっこにある。

この「直通じゃない感じ」が自分の田舎に似ているので、親近感があった。私の故郷も東京から1時間だけど、途中で単線に乗り換えるせいで、ガクっとイナカ度が増すのだ。

「学生とお年寄りしか乗ってないですね。バスみたい…」
「そうですね。小さいし、かわいいし、この電車、運転してみたいなあ…」

林氏はうっとりと線路を眺めていた。

 

降りた駅も静かだった。ほとんど人もいない。
駅の待ち合い室には、古いゲームの匡体があった。子供は誰も遊んでいなかった。

「しずかなところですねー」
「きょう6日ですよね。コロッケの日ですよねえ?」
「盛り上がってないのかなあ」

町をとりあえず歩く。駅を出たら、すぐに商店街だ。
でもシャッターが降りている店が多い。

「……東京からたった1時間なのに」
「若い人がいる感じがしませんね」
「これは、町おこししなくっちゃ、って思うかもしれませんね」

私の田舎みたいに、最初から静かで、今も静かな町なら、町おこしする気も起きないだろうが………ここはきっと、かつては華やかな商店街だったのだ。
一度元気だった町は、再生したいだろう。
だからコロッケなのか。

早くコロッケが食べたい。

 

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