アーデン先生はとても綺麗な指をしていた。 真っ赤なマニキュアはきちんとメンテナンスされている。
先生「この指輪、抜けないのよ。だから誰かにあげたくてもあげられないの」
先生は中指の指輪をグリグリ動かしながらそう言った。 僕が先生の手の写真を撮ろうとカメラを向けると、先生はそっと小指を隠した。
キミコさん「小指の爪が割れて汚いから、嫌なんですよ」
先生は写真を撮ってしまった後も、しばらく爪が割れてしまった小指を気にしていた。
僕が学生時代に現代史で学んだ教科書の中の出来事は、アーデン先生にとってリアルな現実だったのだ。 「来年は猿年で、私は年女です」 今でも隠居する事なく走り続けているアーデン先生のパワーに圧倒された。
帰りにアーデン先生が美容室を開業した数寄屋橋ビル(現ソニービル)に立ち寄ってみた。ここから日本にパーマが広がったのだ。多分。