内野
朝の4時に家を出て、目的の駅「内野」到着は12時半。
ちなみに成田からロスまでの所要時間は9時間。
アホみたいだ。
そして傘を捨てる、という心意気が買われたのか、新潟はおっそろしいくらいの青天だった。
内野駅から金巻までは結構距離があるので、タクシーに乗らねばならない。
バスの時間も調べたのだが、非常に少なく、2時間の滞在時間では微妙だ。
駅前のタクシーに乗り込む。
運転手の飯尾さんに「金巻」について聞いてみる。
「あの金巻まで行きたいんですけど」
「わかりましたー」
「金巻橋ってありますよね?」
「ありますねー」
「あそこに行きたいんです」
「お客さん珍しいねえ、あんなとこなにしにいくの?」
「私金巻っていうんです」
「は?」
「金巻」
「あ、自分の名前の由来とかを調べてる人?」
「そんなもんですかねえ」
まさか小学校の時の夢を叶えに来たという訳にはいかない。
ほんのちょっとしかない市街地を抜けると、そこは遥か彼方まで続く田んぼだった。
ちょっとびっくりする。
「この都会もんがよー」と言われてしまうかもしれないが、父は横浜の下町、母は東京葛飾という都会っこの間に生まれた横浜育ちの私は田舎にほとんど免疫がない。
沖縄で延々続くさとうきび畑を見たときもかなり衝撃をうけた。
「すごいですね、田んぼ」
「あー米どころだからねえ。あっちの山のふもとは魚沼だよー」
「すごいなぁ……」
「でも今年は天気が悪いからダメだろうねえ」
やっぱり今年の天候はヤバイらしい。
金巻橋
ほどなくして車は金巻橋についた。
西川という川にかかる小さな橋だった。
「小さいでしょー」
「ええ」
予想はしていたことだが、別にただの小さな橋だ。
周りは広大な田んぼ。
西川はにごっていて、あまりきれいではない。
ちなみに橋の名前は「かねまき」ではなく「かなまき」らしい。
読み方が違う! と思ったがとりあえず飯尾さんにお願いして、記念撮影をする。
あまりにあっけない夢の叶い方に少しへこむ。
金巻神社
続いて徒歩3分くらいのところにある金巻神社へ。
名前はついているものの、看板のようなものはなく、本当に小さな神社だ。
社(やしろ)といってもいいかもしれない。
神社内にあった灯篭には嘉永2年という文字が刻まれている。
少なくとも1850年にはこの神社はあったらしい。
しかし由来もなにもわからない。
内野について30分くらいで夢がかなってしまった。
|