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ロマンの木曜日
高尾山で滝にうたれる

行衣に着替え、いよいよ滝へ


人間ドックではない 今日のポイントは赤い靴


滝場には「琵琶滝水行道場」という看板を掲げた事務所があり、そこで受付を済ます。修行用の行衣は貸し出ししてくれて、初心者用の指導料も含め2000円で滝修行を体験出来る。


水行道場主管・戸田令定さん

今回僕たちの他に男女合わせて11人の修行体験希望者がいて、そのうちほとんどが初心者だった。若い女性2人組や若いカップルの姿も見受けられる。水行道場の主管、戸田さんがそんな初心者たちに水行の指導をしてくれる。

「ここ琵琶滝での水行は南北朝時代から始まり現在にいたるまで多くの先輩修行者たちが修行をしてきました」

この滝の歴史から説明してくれるが、さっきまで山道を歩いていた時の暑さとはうって変わって滝場はひんやリとしている。行衣1枚に裸足という格好は徐々に体を冷していく。

「すでに寒くなって来ましたね」
「水なんか浴びたらどうなっちゃうんでしょ」

2人でコソコソと行く末を心配する。

 

「滝の中ではずっとこのように手を組んでいないといけません」
滝の中での手の組方の説明が始まる。
右手を上にして手を組み指先は全て内側に、両手の人さし指を立てて合わせ、両手の中指をそれぞれ親指でおさえる。

「人間の体は左半分が迷いや煩悩で、右半分が悟りとされています」
「ですので、こうやって手を組む事によって、迷いや煩悩を悟りで封じる。という意味があり、これを印といいます」

左手が上で、人さし指を立てて、中指を……
中々「印」の形を作れないが、滝に入るまでにはこの形をマスターしておかねば……。


垢を落とす

滝への入り口には2本の石柱が立っている。

「この石柱の向こう側、滝のある方が仏の世界で、手前のこちら側が俗世間です」

石柱の手前、俗世間とされている場所をブラシで掃除する事で、普段の生活でたまった垢を洗い流すという意味を兼ねる。

掃除が終わると塩を全身にこすって体を浄め、頭から桶一杯の水をかぶる。
「えいっ」と気合いを込めて一気に水をかぶる様に言われたが、どうもそこまで気合いを込める事が出来ず、まずは足にかけて、次に手にかけて……と、お風呂みたいになっている。

 

塩と水で体を浄めたら滝場に祀られたお不動様にお祈りする。2回手をうって「南無大聖不動明王(ナムダイショウフドウミョウオウ)」と唱える。
先輩修行者に「これからお参りさせていただきます」というご挨拶だ。


注射の順番を待っている感じ

お不動様へのご挨拶が済み、石柱を抜けいよいよ滝へ。
滝にうたれるのは1人ずつなので自分の順番が来るまでしばらく待つ。
さっき浴びた水が体の体温を奪っていき、寒さがキツくなっていく。

「唇、紫ですよ」

まだ寒い時期の水泳の授業を思い出し、2人の口数が減っていく。


曇天が不安を煽る



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