うきゃー! カップルで試着!
次は水着で有名な服飾チェーン店、「S」へ。
とにかく売り場が広い。しかも派手だ。もろにギャル仕様。ディスプレイのマネキンは小麦色で、ピンクの水着を着ている。もちろん、店員さんもギャルだ。
派手なのに、サイズ展開が豊富だった! 5〜13号まであった。太めのギャルだって、さくらんぼ柄とかフリルが付いたやつとか、可愛いやつが着たいだろう。小柄なギャルだって、大人っぽい柄が着たいだろう。そのニーズに答えている。すばらしい。
ビーチサンダル、タオルなども充実。「どこで買うんだよ、こんなパステルカラーのわけわからんほど派手なタオル!」っていうやつが、大量にあった。ここで買うのか。ハワイのガイドブックまで売っていた。
そして特筆すべきは「カップルフィッティングルーム」の存在だ。
カップル専用の試着室。大きめの試着室に、まん中にさらにカーテンの仕切りがあって、片方にカガミ、片方にイスが置いてある。
そこに二人で入り、試着した水着を彼氏に見せながら吟味するというのだ。
「それはいくらなんでも恥ずかしい」という彼氏は、外で待っているスペースもある。イスとテーブルが置いてあって、男性向けの雑誌がヒマつぶし用に置いてある。
「この赤いのどう?」
「こっちのほうがよくない?」
「えーありえない」
「大丈夫だよ、着ろよ」
「まじでえ?」
でっかい声で会話する、ギャル風とサラリーマン風のカップルが試着室に向かったので、さりげなくついていってみた。
「………もう着れた?」
「ちょっとまって」
「………どう?」
「(ピローン、写メールの撮影の音)」
「ちょっとやめてよおー」
「ねえそれ、パンツの上からはくの?」
「あたりまえじゃん」
「はみでてっじゃん」
「仕方ないじゃん〜……にあう?」
「………いいんじゃない?」
「まじでえ?」
……聞いててムカついてきた。人の幸せは、なぜにムカつくのだろう。
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