かわいーかわいーかわいー
つぎに若者向け百貨店「M」にやってきた。ここも特設会場が出来ていた。ワンフロアに水着と着物が売っている。
ここは水玉、ボーダーなど、かわいい系の模様が前面にディスプレイされていた。雑誌『ノンノ』っぽい色合い。やはりサイズ展開はあまりなし。
「ぶっとい客層にアピールはしても、デカい女のことは眼中にないのか、こういうところに店の方針が出るのね〜」などと悪態をつきながら物色。
9号Mサイズの水着たちは、柄ごとに分けてあった。「アニマル」のコーナーはアニマル柄しか置いてない。ちなみに店員さんはギャル風であったが、白いパンツなどをはいていて、小綺麗であった。さすがM。
「うわーかわいー!」
20代前半の、キャミソールの重ね着している、いまどきの女の子2人組が、声をあげた。
「かわいー」
「ちょっとお、テンション上がってきたあ!」
「あがっっっってきたああ!」
「やばいよ」
「やばいじゃん」
「あ、これ『キャンキャン』に載ってたやつだってえ」
「……超かわいくない?」
「こっちのピンクのもいーじゃん」
「いいー! かわいー!」
「これもー超かわいい」
「かわいいー」
「これもよくない?」
「かわいー」
「これも、かわいくない?」
「かわいー」
2人は15分くらい、「かわいー」を連発していた。
彼女たちが手にとるアイテムを盗み見てみたのだが、種類がバラバラで、どこが「かわいー」のツボなのか、よく分からなかった。
隣の和服ブースのほうも盛り上がっていた。
「ツモリチサト」ブランドの隣に「セイコマツダ」ブランドの浴衣があって、女の子たちが「これかわいくない?」「でも……なに、セイコマツダ?」「なんで?」とか言っていた。
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