FOOMA JAPAN 2003(国際食品工業展)は食品製造関連の機器の総合展示会である。
今年で26回目、606社が参加し、来場者も11万を見込んでいるアジアで最大規模の展示会、とパンフレットに書いてある。業務用のごはんを作る機械がたくさん出品されているのだ。
知らない業界にむやみやたらに憧れる僕としてはマストのイベントだ。では、どうぞ。(text by 林 雄司)
もうひとつのロボデックスだ
展示会を30分ぐらい歩いていて気づいた。これはロボデックスだ。
ロボデックスは年に1回開かれるロボットの総合展示会である。ホンダのアシモやソニーのアイボがスポットライトのなかで歌ったり踊ったりしている。
ここのロボットたちは歌ったり踊ったりしないけど、黙々とごはんをつくる。鉄腕アトムで言えばコマのすみっこのほうに小さく描かれる脇役ロボットだ。映画化されたら高倉健が演じるタイプ。
「自分は、これしかできないスから」
といって黙々とさかなをさばく。間口一軒の居酒屋で。会場にいたストイックなロボたちは
キャベツロボ(モーター音を響かせてキャベツを千切りに) IH炊飯ロボ シャリ弁ロボ 巻き寿司機
巻き寿司機の感動の技は動画でご覧ください。
健さん、作りすぎ
ただ、健さんと違うのはスピードが生半可ではないことだ。
ゆでたまごをむく機械。1時間に1000個。 にんじんの皮むき機、1時間に300キロ。
そんなにむいちゃってどうする、とドキドキするがロボットは手を緩めない。情緒が入り込む余地のないスピード。間口一軒の小さな居酒屋はむいた食材で埋まってしまう。
居酒屋兆治がいつのまにかドリフに。
タイヤの直径が2メートルのトレーラー、バスト100センチ、飛距離180メートルの場外ホームラン、体重が120キロなのに体脂肪率5%、制作費5億円の映画。
僕らはよく数字だけで興奮する。ロボットはそういうツボをおさえている。
でも、ほんと、こんなにむいちゃってどうするんだろう。