「宴もたけなわ、楽しいな」

食が進みお酒も進み花見は盛り上がっていくが、雨もどんどん強くなる。

焼そばは雨で汁だくになるし、ビールを飲めば雨の味がする。

「僕たちは楽しい花見を過ごせてるけど、雨は結構厄介ですね」
「確かに、楽しい花見ですけど、雨は寒さよりも辛いというか……」
「凄く楽しいけど、風邪とかひかない様にしないと」

それぞれに楽しい花見を満喫しながらも、雨の驚異には勝てない。「ちょっとトイレへ」
公衆便所に行くと、トイレ休憩に車を止めていたタクシーの運転手さんとバッタリ会い、ビクっとされる。
確かに花見の時期でもないのに、こんな時間（この時、時刻は23時前）にこんな格好をした人がフラッとトイレに現れたら僕でも驚く。

トイレから戻ると林さんが
「そろそろ、いいですかね」
と切り出す。

「そうですね、もう、いいですね」

誰かが言い出してくれるのを待っていた訳ではない。楽しい時間だからこそ、引き際が肝心だ。防寒着を着ていない荻原隊員は歯をカチカチいわせて小刻みに震えている。

「片付けましょう」
みんな納得の花見お開き。

楽しいお花見の為のポイントその10「引き際は潔く」。