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特集:涙


ロマンの木曜日
生ワサビを訪ねて


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スギ林を見上げて

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筋肉番付のサスケのような道のり

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収穫作業中の高村さん一家

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わさび

「じゃあ、うちのワサビ田に行きましょう」
今まで見てたのは高村さんのワサビ田ではなかったらしい。

再び車に乗り込み、息子さんたちが収穫作業をしているワサビ田に向かう。

高村さんのワサビ田はスギ林の向こう側にあった。
「こ、これは、スギじゃないですか!」
僕は重い花粉症に毎年悩まされていて、出来れば日本中のスギを切り倒したいと思っている位スギを憎んでいるのに、わさび田に行くためにはスギ林の中を抜けていかなくてはいけない。

「こっち、こっち」
高村さん(父)はどんどんワサビ田に向かっていく。
ここから望遠レンズで撮影、って訳にいかないでしょうか……。

そういう訳にもいかず、なるべく息をしない様にスギ林を越え、わさび田に出る。

高村さんの息子さんたちが収穫をしているわさび田までは、細い橋を渡ったり、足場が悪くて細い平均台みたいな所を歩いたりしないといけない。踏み外したら5メートルくらい下を流れる川に落ちてしまう。
高村さん(父)は軽快に歩いて行くが僕は及び腰。
「恐いと思うから足がすくむんですよ」

高村さん(父)の叱咤激励。
いや、そういう精神論ではなく、本当に恐いです。


なんとか息子さんたちが作業している場所まで辿りつく。

「どうも、昨日電話に出たのは僕です」
高村さん(次男)が笑顔で迎えてくれた。
「遅かったねえ」
高村さん(長男)も笑顔。

収穫作業は3段階あって、まずは「かきぐき」といって引き抜いたワサビをほぐす作業。ワサビは実の部分よりも茎や葉の部分が多い。引き抜いた時点では実が見えないのでまずはほぐす作業が必要になってくる。
ほぐしが済むと次に「切りぐき」。茎から実の部分を包丁で切り落とす。
切り落とされた実の部分の鬚根をむしるのが最終工程。
「写真でみるワサビの収穫」

ワサビは苗を植えてから1年半から2年かかって初めて収穫出来る。普通の農作物では考えられない程の時間がかかり、さらに全てが手作業による収穫。
生ワサビが高級品である理由が分る。

「手間暇かけて育ててるんですね」
感慨深く高村さん一家とワサビ田を見渡す。

粉雪が舞い始め、寒さが厳しくなって来たので高村さんのお店「たか惣」に戻ることにした。



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