●21:00「ビートルズライブハウスでバスケットボール」
渋谷から六本木に移動して「ABBEY ROAD」に入る。店名からも分るように店内はビートルズ一色。コピーバンドのライブ演奏も楽しめる。
バーテンダーのリッキーさんに注文。
「僕のイメージでカクテルを作ってください」
「分りました。とりあえずこれで手を冷やしておいてくれます?」
氷をお絞りで包んだものを渡される。
「えっ?」
「ある程度気合いを入れて冷やしておいて下さい」
いや、あのー、僕はカクテルを注文したのですが……。ピアス開ける訳ではないので、冷すとか、そういった事は…
「これから、グラスに火をつけますんで、冷した手でフタをして下さい。そーすると手にグラスがひっつきますから、こうやって手を振ってシェイクしてから飲むんです。俺はバスケットボールって呼んでます」
「火傷とか、大丈夫ですか?」
「いや、大丈夫っすよ。過去にひとりだけいたかな」
1人は火傷している。
僕のイメージでカクテルをお願いしたのに、罰ゲームのようになっている。
「これは僕のイメージって事でしょうか?」
「はい」
■住のイメージカクテルその3「バスケットボール」
気合いを入れて冷し過ぎたせいか、右手が痛い。
「いいっすか、点火しますよ」
ブランデーグラスに火が点る。
「はいっ、今です」
言われるがままに手をブランデーグラスにかざしフタをする。熱くはないが凄い勢いでグラスが吸い付いてきて痛い。
「ドリブル、ドリブル」
ブランデーグラスが吸い付いた状態で右手をシェイク。だんだん吸引力がなくなってくるので右手からグラスをはずす。
「そこで一気に飲み干して下さい」
はいっ!一気。
物凄く強い。ブレンドされているスピリタスはアルコール度数93度。
「なにげにおいしいでしょ?」
リッキーさんが僕を覗き込む。
「は、はい」
やっぱりこれは罰ゲームだ。
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