●ブラジルでは豆乳はポピュラーらしいのに

「背中に豆乳のボトルをしょって、五反田に移動してきました。ここには日本では手に入りにくいコロンビア、ペルー、ブラジルなど、ラテン諸国の輸入食材屋さん、『ムンドラティーノ』があります」
「ラテン……？」
「そう、ラテンです」
「情熱………」
「そう情熱のイメージ。で、調べたところによると、ブラジルでは豆乳はポピュラーな飲み物なんだそうで。なので、情熱的な豆乳がないかなーと思って来ました」
「お店狭い……食材とＣＤがぎっしりある……」
「なんか、世界の食材屋さんて、ビルの上の階の一室にあるタイプの所が多いんですよ。なので、最初はちょっと入りにくいんですよね。豆乳ないかなあ」
「冷蔵庫あるけど……」
「どれどれ」
「………」
「……ないですね。がっくり」
「このムラサキのジュース、何……？」
「『チチャモラーダ』っていう名前なんですね……ん？　ムラサキのとうもろこしのジュースって書いてありますよ」
「………」
「………」
「………」
「………買ってみましょう。あと、この『ポニーマルタ』っていう、飲み物も買ってみましょう」
「ヤケですね……」
「いや、そんなことないっすよ。あ、これください」
店員「コレ、ナンダカ、ワカリマスカー？」
「え？　あの、ジュースですよね？」
店員「ソウ、ジュースデース。ダイジョブデスカー？」
「……え？　ジュースなんですよね？　美味しいですよね？」
店員「エエ、慣レレバ、オイシイデース」
「………」
---

「………ぐびぐび……『チチャモラーダ』は、トロピカルミックスジュースですね。混ぜてあるフルーツのほうの味は分かるけど、トウモロコシの味は分かんないや」
「『ポニーマルタ』は………なんか、懐かしい味……」
「ホントですか？　ぐびぐび……ん？　何だろう、これ」
「駄菓子屋系の……」
「なんか、甘い系のコーンフレーク食べたときの、余った牛乳の味がしますよ」
「そう、カルメとかポン菓子とか……」
「あ、ポン菓子味のソーダですよ、これ」
「……ていうか、豆乳はいいの……？」
「あああ、豆乳ですね。探しに行かなくちゃ、とほほ……」