デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

コネタ


コネタ1109

 
大盛りの聖地、やよい食堂に巡礼に行く
翼よ、あれがやよい食堂だ!

大盛りのカツ丼の丼の上には何が乗っているか知っていますか? 
サービス精神と利益率の狭間で闘う店主の魂が乗っているんです。

こんにちは、大盛り・B級料理ライターの梅田です。

さて、本日は大盛り料理専門家を名乗るには避けては通れない、大盛り界の巨人、千葉県野田市の“やよい食堂”に巡礼に行ってきました。

梅田カズヒコ

僕がやよい食堂に行かなくてはならない理由

とにかく、今、僕はやよい食堂に巡礼に行かなくてはならないと思った。だから行かせていただく。唐突で申し訳ない。

とは言いつつ、あまりに唐突すぎるので、その経緯を説明させていただく。


ここだけの話し、この衝撃の牛丼はある雑誌から掲載依頼がきました“学生街の飯屋で〜”より。

顔よりでかいそば
大盛り料理に挑戦! 死闘横浜編”より。

過去、僕はことあるごとに記事中で大盛り料理を取り上げてきた。その歴史は2年前にさかのぼる。

インドのとなりは板橋区! ('04/9)
学生街の飯屋で『できるだけ大盛りにしてください』って言ってみる ('05/1)
大盛り料理に挑戦!! 死闘横浜編 ('05/6)

列挙するつもりが3回しかやってなかった……。

でも、どうも僕の記事の中では大盛り料理を取材したものが印象的なようで、デイリーポータルZを読んでくださっているかたに出会うと「大盛り料理の記事、読みましたよ」と言っていただけることが多い。

僕自身、ネタに詰まったとき、あ、いや、ここぞというときに大盛り料理をネタにさせていただく。大盛りネタは僕の切り札なんだ。名乗れるものなら、大盛りライターと名乗ってもいいぐらいだ。

しかし、大盛りライターを目指す僕に、立ちはだかる大きな壁がある。それが“やよい食堂”だ。

ここ最近、大盛り業界(そんな業界あるのか?)は活況のようで、ネットはもちろんテレビや雑誌などで大盛りをネタにしたトピックが増えた。世は密かな大盛りブームと言っていい。結果、大盛り料理を取り扱ったお店にスポットが当たっているが、その中でもやよい食堂はパイオニアのひとつであり、別格と言っていいだろう。

かなり出遅れながらも、僕も“大盛りの聖地である”やよい食堂に行ってきた、神聖な気分で。

 

と、言うわけで醤油のふるさと、野田へ

 

千葉県野田市は醤油の産地として有名である。

野田市駅のホームが醤油のにおいが充満しているという話しはどこかで聞いていた。だが、想像していたよりはるかに醤油くさかった。
香ばしいうまそうなにおい(どちらかというといいにおい)が漂っているので“醤油くさい”という表現は間違っているかもしれない。地元の人に失礼かもしれない。でも、そんな言葉の表現の細部が気にならなくなるぐらい、醤油のにおいがあたりに充満していた。

 

聖地への巡礼の最中。キッコーマン醤油の工場をみあげながら……

いかにも普通の店構え

聖地への巡礼の道中

野田の街は駅はともかく街角のいたるところに醤油のにおいがした。醤油のにおい=うまいもの、という日本人としての経験からのすりこみがあるので、自然におなかが空いてきた。人間の身体は意外と分かりやすいという事実を突きつけてくる。

日本人が日本人として文明の三大発明を選ぶとするなら“醤油”は確実に入るのではないか。醤油は羅針盤や活版印刷を越える発明だ!(僕の中で)

何が言いたいかと言うと、醤油のにおいはおなかがすくので、大盛りの聖地“やよい食堂”が野田にあるという事実は、聖地は生まれるべく場所に生まれたのではないか、ということだ。

心が洗われた気分のまま、ついにやよい食堂に到着。

聖地、聖地と(僕が勝手に)言い張っていたわりには外観的には何の変哲もない食堂である。
日本全国の町内のちょっと古めの食堂という食堂を集めて平均化したような店構えだ。

さあ、中に入るとするか。

 

魅力的なメニューの中からやはりここはひとつベーシックなカツ丼を頼む。

カツ丼を注文。しかし……

数ある大盛りメニューの中からもっともベーシックな雰囲気漂う“カツ丼”を注文。

チャーハンとか、セットメニューとか頼もうかとも考えたけど、なんだかちゃらちゃらしているようで(?)、神聖な場所に合わないと勝手に決めつけカツ丼に落ち着いた。では、オーダーはカツ丼の大盛りにしよう。

しかし、しかしである。ここで不測の事態が起きた。

オーダーを取りに来た大柄のケンカの強そうな店員さんが来ていたやよい食堂のオリジナル店員さんのシャツに書かれた
「男は最後まで食うべし」(確かそんな内容だったと思う)という文字にかなりドキッとした。

「食べられなかったどうしよう……」
「残したら怒られるかな……」

という邪念が発生し、何を思ったか恐くて大盛りと言えなくなってしまった。と言うわけで、あえなくカツ丼(並)をオーダー。そして、僕に運ばれてきたカツ丼(並)はと言うと……

 

カツ丼、(並)

 

上にお茶碗がかぶさってますけど、なんかいろいろはみ出してますよ。

こ、これ、本当に並ですか?

さっそくお茶碗をあけてみる

で、でか。 丼が見えない。

カツ丼 (並) 560円。

大盛りリポーターとして、カツ丼大盛りを頼めなかったのは不覚だが、並でも超でかいので、逆説的にやよい食堂の威力を見せつける結果になってしまった。


やっぱり今回も携帯しか持っていなかったので携帯で大きさ比べ。でかいでしょ、カツ丼
断面が分かるように垂直に食べてみた。カツと卵とじの層、タマネギの層、ご飯の層、つゆの層と土の断層みたいです

 

駅や市街地から離れた場所にあるのに、地元のお客さんで賑わう店内。

なぜ、やよい食堂が聖地なのか

やよい食堂は駅や市街地から離れた場所にあるのに、お客さんが続々やってきて、ほぼ満席状態だった。

最近、ネットはもちろん、テレビや雑誌も大盛り料理を取り上げる機会が増えたように思える。多くの大盛りのお店がメディアでスポットを浴びた。

そんな中、チャレンジメニューや話題作りのためだと思われるような大盛り料理も存在してきているのが現状だ。しかし、どんなびっくりメニューも、作ってしまえばそれは確かに存在するけど、そうではなくて、大盛り料理があって、それが恒久的にお客さんに受け入れられている、という状況こそが、真の意味で大盛り料理のあるお店なんだと思う。

と、語ってみたが、なんでこんな大盛りについていろいろ語っているんだろう、と首をかしげている自分も居る。

 

前に座っていた男が飲んでいたコーヒー

やよい食堂、恐るべし

とにかく必死で食べた。前に座っていた男が店員さんに「コーヒーある?」と聞いていて「あるよ」と返していたので、僕も食後のコーヒーを飲みたいな、と思ってそれを頼りに丼の中のものを食べ続けた。

ついに食べ終わって、ふと先ほどの男を覗いてみると、コーヒーはコーヒーでも瓶のコーヒー牛乳を飲んでいました。特にたいしたことではないのですが、やよい食堂のお店を現す象徴的なシーンだと思ったので書かせていただきました。
なんか、スターバックスとかとはもっとも遠い存在にあるお店だと思います。どちらがどうとかいう意味ではなくて。


やよい食堂

千葉県野田市中野台351
東武野田線愛宕駅より徒歩12分ほど
(僕は野田市駅から向かいましたが、最寄りは隣の愛宕駅です)
TEL:047-122-3791
営業時間
11:00〜14:00 17:00〜19:00
休日:金曜・第2土曜
(個人経営の大衆食堂なので、不定休をとることがあるかもしれません。遠方から食べに行く際は事前に営業の確を認しておいたほうがよいかも)


 

▲トップに戻る コネタバックナンバーへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.