定食屋というのは食事をする場所としては、かっこいい方には入らない店だろう。特別な席としては使われることのない、あくまで日常的な食事の場。かっこよさとは遠いところにある定食屋だが、そこに向き合う人の姿には惹かれるものもある。見本の前に立つ2人、もうここに数分間とどまって動かない。右の人の足の開き方からすると、「まだまだ吟味できてない」と思っているのかもしれない。たかだか普通の昼ご飯。でもそこに、自分なりのベストを尽くしたい。午後の自分がどうあるかを決める真剣勝負。