古本屋の店先にあった、VHSビデオの棚。店頭という通りから最も目につくところにあったのがこの棚だ。今時VHSで映像を見るというのは、結構かっこわるいことかもしれない。ただ、DVDがブルーレイに取って代わられようとしている現在においても、この棚は超然とそこにある。

ジャンル分けされることもなく、雑然と並んだテープたち。だから「ハンターハンター」と「犬夜叉」に挟まれて「殺人療法」が並んでいたりする。こうして見ていて楽しいのは、VHSならではの「幅」があるからだろう。省スペース性ではディスクのメディアに劣るVHSだが、それらよりもいくらか幅があることで、こうして並んだときの見応えが出てくる。

こういう景色はこれから何年見られるのだろうか。消えゆく光景ということを意識するとまた味が深まる。偶然だろうが、赤い棚が鳥居のように見えるのもかっこいい。