ツナじゃない!?「油を使用しないライトフレーク かつお野菜スープ調理」

油を使っていないツナ。元々海外生まれのツナだが、ヘルシー大国日本で大きな気づきがあった。油なくていいじゃん、という発見である。体にまとっていた油こそツナがツナたる所以であったが「これなくてもツナとしてやっていける！」と気づいた者の手によって商品化された。缶詰を見るとどこにも「ツナ」と書いてない…えっ！？なんなのこれ？

ところで人が人である所以の「服」を脱いで「おれ、これでも人としてやっていける！」と宣言することは自由であるが、牢獄に入ることになる。なかなかに大変である。

缶を開くと同時に吹き出すツナ臭。ここまでは同じだが、今までのツナ缶とちがってテカリがない。油を使ってないためだ。油の代わりにツナが浸かっているのは野菜スープ。原材料「野菜エキス」とだけあってその野菜が何かは明らかにされていない。ヒントとして「原産国：タイ」とある。タイの野菜…ますます分からない。味見をしてみる。かつおの味がする。お前は黙っとれ、とかつおにきつく言う。言ったところで味は分からない。ああ、言葉というものは時に無力である（特に無機物に対して）。

野菜スープならもしかしたらこれ…そう思って玉ねぎを足して味噌を入れた。一瞬で味噌汁ができた。かつおと野菜のスープなので普通の味噌汁の出汁とは微妙にちがうのだが、うまみの力強さは抜群。ツナにかぶりついてみると、お、これはちょっとちがう。

この缶詰特集で「まぐろツナ」「かつおツナ」「まぐろ＆かつおツナ」の三缶の味のちがいについて悩んでしまい「こんなもん分かるか！」と缶詰を池に放り投げては頭にたんこぶ作った女神さまが出てきていた。だがこれはかつおだとはっきりわかるぞ。舌の奥がきゅっと締まるわずかな酸味と、魚くささ。これはツナじゃない。ツナというよりかつおの身だという認識の方が強い。

なるほど缶詰のとこにも「ツナ」と書いてないわけだ。これはツナでなく、うまい魚の汁だ。ライトフレークでなくても商品名「うまい魚の汁 105円」に変えたらどうだろう。急にびんぼうくさくなってきた。

購入価格 105円
メーカー：いなば

（大北）

( 2012/05/02 17:00:00 )