荒ぶる野心と若き欲望の味!「いわし蒲焼」
日本に限らず海に面した多くの国で貴重なタンパク質として食されているいわし。しかし、その名は魚へんに弱いと書いて鰯。同じ缶詰でもサバやサンマに比べてややポピュラーさに欠ける気がする。やはり弱い。しかしその「弱さ」にこそ愛しさを感じる独身者も多いのではないだろうか。独り身の夜にビールといわし缶。哀愁のごはんだ。今は鰯でもいつか俺も強者に、という野心と欲望の味…ちょっと言い過ぎた。しかしそんな苦笑い妄想をかきたてる魚ではある。
様々な味付けがあるいわし缶の中でも最もオーソドックスな味であるいわし蒲焼。ふだん外食しかしない独身時代だと外食の蒲焼=うなぎ、缶の蒲焼=いわしやさんま、だった。「弱」という漢字がついていたことから、昔からあまりゲンの良い魚ではないという説を聞くけれど、ならばサーディンとかアンチョビとか洋風に呼ぶも一興。説明書きにはどの種類のイワシとは書いてないので、まあ勢いで言う分にはアリだろう。
たれもたっぷり入ったいわしの蒲焼。ここはやはりご飯に載せて食べたい、いや喰らいたい。白米をじわりじわりとコーティングしていく蒲焼のたれ。や、やばい。というかタレだけで文章終わってしまうぞ。思ったより甘めのタレとほぐれやすいいわしの身。骨だろうとかんけーねー!で食えるのがまた素晴らしい。いつ食べても独り身の時代にタイムスリップさせる甘味と食感。もはや若い頃の野心も欲望もないけども、お昼にお供で食べては遠い目をさせる缶です、いわし蒲焼。購入価格 105円メーカー:マルハニチロ(大坪ケムタ)
( 2012/04/29 19:00:00 )