リアル脱出ゲームという遊びがあるそうだが、
実際にどこかの部屋に鍵をかけて閉じ込められるというわけではなく、
「閉じ込められた」と頭の中で設定を決めて楽しむそうだ。
つまるところ、室内の世界観を妄想して遊ぶゲームだと思うのだが、逆もできるのではないだろうか。
室内はいつものままなのだが、外の世界は激変していると頭の中で設定して楽しむのだ。
外の世界が激変してしまったので、家の中に閉じこもることにする。
外の世界からの脱出ゲームともいえるだろう。
妄想の数だけ設定はあると思う。
今回はゾンビが大量発生したので、自宅に閉じこもっているという設定にする。
この手の遊びに必要なことはリアリティである。
ゾンビの設定を思いつく限り決めていく。
まず科学系かオカルト系かを決める。
オカルト系のゾンビ映画は何でもありになって個人的に冷めてしまうので、今回は科学的なゾンビの世界観を選択する。
科学的な世界観ということなので、ウィルス感染ということにした。
空気感染はなしで、咬まれたりゾンビの体液を何らかの原因で摂取してしまうと感染してしまう設定にする。
感染後のゾンビの設定も決める。昨今のゾンビは走るのが主流だが、今回は従来通りのイメージの緩慢な動きのゾンビを想定する。
電気、ガス、水道などのライフラインの有無を決める。今回は電気と水道はまだ使えるという設定にする。
テレビのアンテナケーブルを抜く。ネットも遮断する。ケータイもバッテリーを外す。
ラジオやテレビから時折ノイズを流すとそれっぽくなる。
ヘリコプターや飛行機が飛んでいるのを見かけたら、ベランダから手を振って救助を要請してみるのもいい。
ひとしきり手を振った後、
「ダメか・・・」と呟くと雰囲気がでる。
時折チャイムが鳴ることがある。
そうなれば一大イベントだ。
ゾンビの襲来である。
物音を立てないように、そっと玄関に近づく。覗き穴を覗く。
ゾンビが立ち去るのを待つ。
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