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クラブ活動
 

毒部
伊藤健史 たった数ミリグラムで幾人もの人間を殺傷できる猛毒を持つ超危険動物から、単に不快なだけの虫まで、我々の周囲では多種多様な有毒生物が生を謳歌している。
そんな妖しく、かっこいい、時に癒される毒の生き物達を紹介する事によって、WEB2.0もソーシャルネットワークも確かに素晴らしいけれども、世の中には「毒」という切り口もあるんじゃないだろうかというささやかなライフスタイル提案ができたらと思う。
それにしてもなんといういかがわしい名の部活動だ。親が見ていなくてほんとうによかった。 (伊藤健史

ヒメツチハンミョウ

ヒメツチハンミョウ
たそがれのアリオヤジ。危険を感じると足の関節から黄色い毒液を出す。

前回のマメハンミョウと同じ毒を持つ、カンタリジンブラザーズ(勝手に命名)の1人。
アリの親分みたいな姿態でのたのた歩く様から「アリオヤジ」という言い得て妙なニックネームを持つ。
ちなみに同じハンミョウという名前で、はるかに毒々しいチンピラルックをした昆虫がいるが、まったくの別種であり、毒も持っていない。

ヒメツチハンミョウ
ハンミョウ(無毒)。悪いやつだな。見た目だけなら断然こっちが毒虫。

カンタリジンは人間の致死量がわずか30mgともいわれる猛毒で、中国では古来よりツチハンミョウの一種から毒薬が作られ、要人の暗殺等に使われた。
江戸時代の初め頃、漢方医学の伝来と共に日本にも伝わったのだが、その際に間違えてこの無毒のハンミョウが使われていたという。
忍者が政敵の若様に必殺の毒を盛ったつもりが翌朝もピンピンして剣を振っており、上司から始末書の提出を課せられ、担当を外されるみたいな悲劇(何が)があちらこちらで起っていたりしたのだろうか。こんなちっぽけな虫が与えたであろう日本史への影響の大きさを思わずにはいられないエピソードだ。

( 2012/03/06 11:00:00 )



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