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ファミマしば漬けちりめん山椒

ファミマしば漬けちりめん山椒
しば漬けちりめん山椒 ファミリーマート 118円(このおにぎりのパッケージには、芸人の似顔絵が描かれていました)

僕の住んでいる場所は住宅街だ。
朝その辺を歩けば、学校に向かう小学生や中学生とすれ違う。彼らは、仲良く友達と話しながら学校に向かっている。少子化だと言われているけれど、場所柄なのかそのくらいの年齢の子供はよく見かける。

いつだったか僕は近所をぶらぶらと歩いていた。
寒い日だったけれど空は青く、もう何日も雨は降っていなかった。雨が降ると余計に冷えて感じるので、冬場に晴れの日が続くことは嬉しい限りだった。

公園の中を通り抜けようと、誰もいない公園に入った。
ブランコと滑り台、ベンチがあるだけの普通の公園だ。そんな公園のベンチの脇にふと視線を落とすと、いわゆる「ピンクな本」が落ちていた。大人しか読んではいけないアレだ。いつからそこにあったかは分からないけれど、そのピンクな本は何日も雨が降っていないおかげでいい状態だった。

僕はそのまま通り過ぎた。
自分が中学生だったらどうだろうと考える。きっとそのピンクな本を拾っていただろう。しかし、今の僕は拾わない。パラパラと人目を気にしながらめくったりもしない。何もしないのだ。離れたところから、落ちているなと確認するだけで、一切手も触れないのだ。

後進に道を譲るとは、こういうことなんだと初めて感じた。
僕は部活やサークルなどをしたことがないし、まだ20代という年齢だし、そもそも譲るような道も持ち合わせていないので「後進に道を譲る」という経験がなかった。だからこれが、後進に道を譲る初めての体験だ。きっとその本は近所の小中学生が拾うべきなのだ。

そう考えると何か清々しい気持ちがした。
この辺は子供が多いから後進は順調に育っていることだろう。ちなみに中学時代、僕はそういうピンクな本を拾ってはクラスメイトに売っていた。いい収入だった。

そして「しば漬けちりめん山椒」も清々しい気持ちになるおにぎりだった。
カリカリとしたしば漬けは、歯ごたえもよく、ちりめんとの相性も抜群だ。春の晴れた日にピクニックに出かけ、そこで食べたおにぎりみたいで、完食後は前述の通り清々しい気持ちになれる。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2011/01/14 21:00:00 )




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