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ファミマおむすび2ヶ入

ファミマおむすび2ヶ入
おむすび2ヶ入 ファミリーマート 220円(2011年も頑張っていこうと思います!)

お正月に初詣に行こうと玄関を開けた。
外は驚くほど寒くて初詣は無かったことにしようかと思ったけれど、ここで家に戻ると例年通りになるので、今年は行こうと意を決して玄関の鍵を閉めた。

住んでいる建物の階段を降りて、1階にあるポストをのぞいた。
例年、年賀状は祖母からの一枚だけなのだけれど、今年はそのわずかな隙間から、年賀状に輪ゴムがかかっていることが確認できた。夢にまで見た「ゴム年賀」だと思い、ウキウキしながらポストを開けた。

年賀状にはやっぱり輪ゴムがかかっていた。
裏側は祖母からのもので住所等が書いてあり、表は弟の彼女からのもので新年の挨拶と共に僕の似顔絵が描いてある。その束は薄いけれど最低2枚は僕に年賀状が届いていることが分かった。2枚でも十分嬉しいので、ウキウキしながら輪ゴムをはずし、表の弟の彼女からの年賀状を少しずらすと、見知らぬ女性が載った年賀状が現れた。間に挟まっていて何の情報も無い年賀状だ。

急にドキドキし始めた。
この年賀状の写真の女性は誰なんだ、と。こんな女性の知り合いはいただろうか。ドキドキしながら考えた。飲みに行った事があったら覚えているはずだ…、どこで飲んだっけ…、新宿で飲んだ時にいた女性か…などと本気で20秒くらいポストの前で考え、もう我慢ならんとその年賀状を裏返して誰から来たものか確認した。

郵便局からの年賀状だった。
広告みたいなものだ。表にして深呼吸して落ち着いて写真を見ると「蒼井優」と書いてある。新年の挨拶も書いてあって、キチンと読むと2月21日から公開される映画で初めてパティシエ役をやるとしっかり宣伝までしてある。

僕のあの20秒は何だったんだろう思う。
確かに、こんな女性と知り合いだったんだ、という幸せな気持ちになれた。新宿で飲んだ、みたいな具体的なことまで浮かんだ。ただ気づいた瞬間に虚しくなった。もちろん飲んでなんていない。飲んでいるはずなんて無いのだ。人の記憶はいい様に置き換えられるんだと感じたお正月だった。結局その日初詣には行かなかった。

そして、ファミマの「おにぎり2ヶ入」は本気で20秒考えていた時のような幸せが詰まったおにぎりだった。北海道産の秋鮭と北海道産のこんぶの2つのおにぎりが入っており、たくわんも付いている。おにぎりと食べるたくわんが格別で、鮭とも昆布とも合うので、いくつでも食べられるような気がする。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2011/01/13 11:00:00 )




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