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セブンイレブン赤飯おこわ

セブンイレブン赤飯おこわ
赤飯おこわ セブンイレブン 130円(明日は弟の誕生日。プレゼントをくれと連絡がありました)

僕がまだ大学生の頃だ。
僕は東京に住んでいて、正月か何かで当時大分県にあった実家に帰ったことがあった。実家にはその頃、父と高校生だった弟が住んでいた。この2人に共通することは綺麗好きという点で、地主家で僕だけそうではなかった。だから、久しぶりに帰っる実家は相変わらず綺麗だろうと思った。

夕方過ぎに駅に着いた。
そこから実家にたどり着いた頃にはどっぷりと日は暮れていた。家に入ると家中が真っ暗で、台所の電気だけがついていて、弟が夕ご飯の準備をしていた。台所と居間はひとつながりになっているので、その台所の明かりで、ぼ〜っと居間も明るくなっていた。部屋は男2人暮らしなのに、やっぱり綺麗だった。

居間にはストーブがあった。
テレビやテーブルなどは居間に年中あるが、冬らしいアイテムとしては、唯一ストーブだけが置いてあった。そのストーブはヤカンをのせたり、干し芋を焼いたりするタイプのストーブだ。台所には背を向ける形で置かれているが、どうやらついているらしかった。

弟と少し話をして荷物を置きにかつての僕の部屋に行った。
寒かったから、さっさと居間に戻ると弟は居間のテーブルに夕食を並べていた。相変わらず台所の明かりだけで居間は薄暗い。なぜ居間の電気をつけないのだろうと思って、僕は電気のスイッチを押した。

一向に明るくならない居間。
弟の話では電気は切れているのではなく、壊れていてもうしばらくついていないとのことだった。綺麗好きではあるが、綺麗であれば壊れていることには興味がないらしいことを知った。ずっと暗い部屋で食事をしているのだそうだ。もちろんその日も僕らは薄暗い部屋で食事をした。ストーブの火がこんなにも赤いとは知らなかった。暗いとその赤さが目立つのだ。

しばらくして父が帰って来た。
3人で薄暗い居間で食事をした。実家って暗いんだっけ? と思った。実家に帰るとホッとしたりするものだと思うが、全くホッとしない空間なのだ。暗いのだ。何で家族3人で薄暗い部屋で食卓を囲んでいるのだろうと食事中考えていた。オシャレな感じの居酒屋か、と思ったけれど、家族3人でそんなところには行かない。というかここは実家だ。とにかくずっと暗かった。朝を待ち遠しく思った。そんな実家だった。

そして「赤飯おこわ」を食べると、それとは真逆の幸せな気持ちなった。
もちもちとした食感と、ごま塩のしょっぱさがクセになり、なんだかめでたい気持ちになるのだ。赤飯パワーだ。小豆の甘さがアクセントとなり美味しさを増進させている。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2010/12/12 21:00:00 )




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