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ローソンカリカリ梅ゆかり

ローソンカリカリ梅ゆかり
カリカリ梅ゆかり ローソン 110円(僕の部屋の隣と隣はもうずっと空き部屋です)

最近はどんどんと寒くなる。
部屋で椅子に座っていると、足の裏がフローリングの冷たさをスポンジのように吸い取ってくるようで、足から頭に向かいズンズンと寒さが上ってくる。もしこの寒さがランナーならば、かなりのスピードを持っている。あっという間に僕は寒さの餌食となる。

僕の家には暖房器具というものが無い。
何枚も着込み、マフラーを巻き、耳当てをする。靴下も3枚はいている。にも関わらず寒く、改めて寒さの強さを痛感する。仕方が無いので、ある程度体が冷えると、おもむろに椅子から立ち上がることにしている。

立ち上がった僕は部屋の中で体を動かす。外には出たくないのだ。
最初はジャンプをする。あまり勢いよくジャンプをすると、下の住人から苦情が来そうなので、壊れそうなものを運ぶ時のように慎重に着地をする。もちろんこれでは体は温もらない。でも、なんとなく毎回やってしまうのだ。

次は僕が名づけた「テクノいっちょめいっちょめわーお」をやる。
膝をとんでもないホラー映画を観た時のようにガクガクと揺さぶり、体を激しいロックを歌う歌手がコンサートで歌うバラードを聴いている観客のように揺らし、手は「いっちょめいっちょめわーお」の動きをする。

むろん温かくはならない。まったくと言っていいほどに。
しかし、やっているうちに楽しくなり、5分ほど続けてしまうこともある。ただし、この「テクノいっちょめいっちょめわーお」は唐突に終わる。特に夜は。窓ガラスにその訳の分からない踊りをしている自分が映るのだ。すると、急に我に返り「何をやっているのだろう?」と深い井戸に落ちたような気持ちになる。

心も急に寒くなる。
しかし、その教訓は生かされず毎冬その踊りと共に過ぎていく。僕の家の冬の風物詩と言ってもいいだろう。一般には冬の風物詩と言えば、鍋やこたつだろう。しかし、僕の家では「テクノいっちょめいっちょめわーお」なのだ。

そして、「カリカリ梅ゆかり」はそんな酸っぱい僕に負けない酸っぱさだ。
刻まれた梅干がカリカリとした心地よい食感を演出し、酸っぱさもクセになる。先の僕の酸っぱさとは次元が違う上品な酸っぱさだ。ごまもアクセントとなり食欲を増進される。酸っぱいことが幸せなのだと教えてくれる。僕の酸っぱさもいつかそうなるといいと思う。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2010/12/08 21:00:00 )




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