いつだったか「キングオブコント」に出たことがあった。
「キングオブコント」とは、全国からプロアマ問わず多くの人たちが参加するコントのコンテストのようなものだ。決勝戦はテレビで放送され1位になれば1000万円を手に入れることが出来る。

決勝戦までの道のりは険しく、何度も何度も予選が行われ、大抵は1回戦で敗退となる。それもそのはずで、1回戦は2000円を払えば誰でも出れるので、大体は面白くないのだ。僕らも2000円を払って決勝への第一歩である、その1回戦に出場した。1000万円欲しかったのだ。

ネタは僕が考えた。
相方は大学時代の友達だった。あまり動きの無い言葉遊びのネタだった。僕が普通の日記を読み、相方がその日記をメルヘンに読み替えるというものだ。たとえば、僕が「クルマに飛び乗った」と言うと、相方は「キリンにまたがった」と、僕の日記と響きが近い言葉を使いメルヘンな日記していくわけだ。

これがとてもウケた。
後にも先にもこんなにウケたことがあっただろうか、と思うほどにウケた。観客全員が大笑いしているのだ。2分の持ち時間が終わり、ステージを降りた後、相方とハイタッチをしたほどだ。お互い日本人なのに、アメリカ人に負けないハイタッチだったと思う。

しかし、結果は1回戦敗退だった。
何でだ！　と僕はクビをひねった。僕は今度こそはと調子に乗って、その年のR-1グランプリに出場した。これも大筋はキングオブコントと同じなのだけれど、ピンで行わなければならない。僕一人で笑いを取ろうと思ったのだ。500万円欲しかったのだ（こっちの賞金は500万円）。

結果は、僕の膝だけが笑っていた。
後にも先にもこんなにスベったことがあっただろうか、と思うほどにスベった。観客全員が失笑すらしていないのだ。ただ、その雰囲気に僕の膝が笑っていた。震えているのだ。大爆笑と言っていいほどに震えていた。

そして、「焼豚チャーハン」を食べても笑ってしまった。
自然に笑みがこぼれるくらいに美味しいのだ。チャーハンのお手本ともいえる、美味しいチャーハンがおにぎりになっている。貝柱がアクセントとなり、味に深みを出している。文句のつけどころがない。コチラは決勝進出だ。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2010/11/27 21:00:00 )